“10cc”の代表曲の”I’m Not in Love”。
一筋縄ではいかない”10cc”にあって、純粋な「愛」の歌です。
ただ、その愛情表現は、ストレートというわけにはいかないようです。
“Eric Stewart”の狂おしいばかりの甘美の歌声が、美しいメロディーと相まって至極の作品に仕上がっています。
I’m Not in Love <歌詞>
I’m not in love
So don’t forget it
It’s just a silly phase I’m going through
And just because
I call you up
Don’t get me wrong, don’t think you’ve got it made
I’m not in love, no no, it’s because
I like to see you
But then again
That doesn’t mean you mean that much to me
So if I call you
Don’t make a fuss
Don’t tell your friends about the two of us
I’m not in love, no no, it’s because
I keep your picture
Upon the wall
It hides a nasty stain that’s lying there
So don’t you ask me
To give it back
I know you know it doesn’t mean that much to me
I’m not in love, no no, it’s because
Ooh you’ll wait a long time for me
Ooh you’ll wait a long time
Ooh you’ll wait a long time for me
Ooh you’ll wait a long time
I’m not in love
So don’t forget it
It’s just a silly phase I’m going through
And just because I call you up
Don’t get me wrong, don’t think you’ve got it made
I’m not in love
I’m not in love
Written by Eric Stewart / Graham Gouldman
I’m Not in Love <訳の概要>
愛してなんかいないよ
誤解しないでくれよ
ちょっと最近変なだけさ
ちょっと電話したぐらいで大騒ぎしないでね
会いたいと言ったぐらいで
そんなたいそうなもんじゃないんだ
電話したからといって
大騒ぎしないでくれよ
僕たち2人のことみんなにふれまわったりしないでくれよ
だって、愛してなんかいないんだから
壁に貼ってある君の写真
ただ壁のシミを隠すためのものさ
だから、返してくれなんて言わないでくれよ
対した意味なんてないんだこんなもの
だって、愛してなんかいないんだから
ああ、君はいつだって僕を待っていてくれるんだね
ああ、君はいつだってそうさ
I’m Not in Love <解釈>
「愛してなんかいないよ」
額面通りに受け取る人はいないと思いますが、もう、ものすごく愛しているという意味ですよね。
“I’m Not in Love”が収録されている”The Original Soundtrack”の前作にあたる”Sheet Music“で、”The Worst Band In The World“という曲がありますが、どうやら自分たちのことを歌っているようです。
“I’m Not in Love”ほどの名曲を残すバンドが、”Worst Band”であるはずがなく、”10cc”お得意のウィットが感じられます。
そういうわけで、”10cc”の言葉には多分に逆説的な意味がありますので、文字通り受け止めてしまうのには注意が必要です。
素直に、「愛している」と言わないのは、「愛してる」と言葉にした瞬間に、その愛が薄っぺらいものとなってしまうからでしょう。
“Thompson Twins“の”Hold Me Now“(アルバム”Into the Gap“に収録)の歌詞の中でも、”You Ask If I Love You”と恋人に訊かれ、”What can I say”と返事に窮する場面がありますが、本当の愛は簡単には言葉で表現できないものなのでしょう。
「恋人がいつまでも待ってくれる」という願望は、裏を返せばいつか別れてしまうという恐怖感の表れだと思います。
「愛は永遠だけど」「恋人たちはそうでない」ことを”10cc”は、”People in Love“(アルバム”Deceptive Bends“に収録)で、”Love is forever,but I’ll never be”と歌っています。
「愛を失う」ことへの恐怖を「愛してなんかいない」と自分を正当化しているようにも思えます。
「恋人の写真」を壁のシミ隠しと言い訳しているのは、もう滑稽なほど苦しい言い訳ですね。
恋人の声を聞きたくて、何度も電話する自分を正当化するために、妙な理屈をこねているところも涙ぐましいです。
“I’m Not in Love”は、アルバム”The Original Soundtrack”に収録されています。
>”アルバム”The Original Soundtrack”に関する記事はこちらから
>”アルバム”Into the Gap”に関する記事はこちらから
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