ロック・ファンのみなさまに、ロック・ファンの目線で、おすすめのジャズ・アーティストをご紹介したいと思います。
第二弾は、”Karen Souza”(カレン・ソウサ)です。
アルゼンチン出身のジャズ・ボーカリストです。
“Karen Souza”は、「ジャズ」ではなく、「ボサノバ」だとおっしゃる方もいるかと思いますが、細かいジャンルは、ともかく、ロック・ファンにも十分楽しんでもらえるアーティストだと思います。
“Karen Souza”の魅力は、何といってもあの声と、けだるそうに歌う独特の歌い方です。
誤解を恐れずに言えば(かなり恐れています)、少しハスキーで低音の歌声で聴衆を魅了する”Diana Krall”が、演歌で例えるならば、「八代亜紀」であるならば、この”Karen Souza”は、少し陰りがある怪しい魅力の「藤圭子」と言えるでしょう。(「藤圭子って誰?」と若い方は思うでしょうが、「宇多田ヒカル」のお母さんと言った方が若い方はピンとくるかも知れません。)
ところで、なぜ、ロック・ファンに十分に楽しんでもらえるかと言うと、これまでに、ロックの名曲をボサノバ風にアレンジしたカバー・アルバムを2枚出していて、いずれも、馴染みの深い曲が、彼女の独特の音楽の世界観で表現されているからです。
おすすめの一枚 “Velvet Vault”
ロックのカバー・アルバムを紹介しておきながら、おすすめのアルバムは、そのカバー・アルバムではなく、2017年にリリースされたばかりの最新アルバムの”Velvet Vault”です。
>アルバム”Velvet Vault”に関する記事はこちらから
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本来なら、ロック・ファンの皆さまには、ジャズの世界への導入としては、ロックのカバー集が最適だとは思いましたが、この”Velvet Vault”の出来があまりにも素晴らしかったので、ついこちらの方をおすすめしてしまいました。
このアルバムには、ロックの名曲のカバー曲もありますが、彼女自身のオリジナル曲も含むバラエティーに富んだ構成となっています。
ロックのカバーとしては、”10cc”の大ヒット曲の”I’m Not in Love”があります。
この曲は、”Diana Krall”も”WallFlower”というカバー・アルバムで披露しています。
ジャズ・アーティストの間でも人気の高い曲と言えるでしょう。
その他にも、”I’m Begging to See The Light”や、”Valerie”など、これまでのアルバムに収録されたどの曲よりも、仕上がりが素晴らしい曲が並びます。
“Karen Souza” ディスコグラフィー
“Essentials”
それでも、”Karen Souza”と言えば、この2枚のロック・カバー・アルバムをご紹介しないわけにはいかないでしょう。
カバー・アルバム第一弾の”Essentials”と、続編の”Essentials Ⅱ”です。
“Essentials”には、”Culture Club”の”Do You Really Want To Hurt Me?”に始まって、”The Police”の”Every Breath You Take”、”U2″の”New Year’s Day”などが収録されています。
2枚のカバー・アルバムの内でも、こちらの”Essentials”の方が、ロック・ファンにお馴染みの曲が多く収録されていると思います。
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“Essentials Ⅱ”
さらに、”Essentials Ⅱ”では、”Fleetwood Mac”の”Dreams”が収録されています。
同じカバー・アルバムでありながら、こちらの”Essentials Ⅱ”の方が、隠れた名曲と言った感じのロック通の方が好まれる選曲だと思います。
こうして、収録された曲を眺めてみると、アレンジの素晴らしさもさることながら、選曲のセンスも感じられます。
きっと、彼女自身、ロック・ミュージックをこよなく愛しているのでしょう。
>アルバム”Essentials Ⅱ”に関する記事はこちらから
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この2枚のアルバムを聴いてみると、改めて、原曲の楽曲の素晴らしさを実感することでしょう。
そして、”Karen Souza”が、ロックの名曲を、彼女の音楽と融合させることによって、新たな魅力を加えて再び音楽ファンに提供してくれているのは、ありがたい話です。
“Hotel Souza”
カバー・アルバム2枚と同時期にリリースされた”Hotel Souza”というアルバムも、彼女の音楽性を知る上で重要なアルバムです。
アルバム・タイトルに、彼女の名前を冠したこのアルバムは、彼女自身のオリジナル曲も含むパリでのホテルの一夜をテーマにした統一感のあるアルバムです。
もっとも、このアルバムの特徴を表現した冒頭の”Paris”は、これから始まる”Karen Souza”のパリでの物語へ聴衆を誘う導入効果十分な雰囲気のある曲です。
「パリの一夜」と言えば、”10cc”の”Une Nuit A Paris”を思い浮かべます。
この曲は、あの有名な”I’m Not in Love”が、収録されている”The Original Soundtrack”という映画のサウンド・トラックを意識したアルバムの冒頭を飾りました。
やはり、コンセプト・アルバムの導入部分としての重要な役割を担っている曲でした。
そして、”Une Nuit A Paris”に続いて、あの甘美の”I’m Not in Love”が始まるのは、単なる曲の並びではなく、アーティストが十分計算尽くしたものだと思います。
>アルバム”The Original Soundtrack”に関する記事はこちらから
実質の表題曲である”Paris”に続く、”My Foolish Heart”や、”Wake Up”なども、”Karen Souza”の歌声と独特の雰囲気が十分に楽しめる楽曲が揃っています。
ストリングスや、ブラスの音も重なって、しっとりした中でもゴージャスな音を楽しむことができます。
>アルバム”Hotel Souza”に関する記事はこちらから
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