商業的な成功は二の次?
“The Correct Use Of Soap”、アルバム・タイトルとしてはかなりユニークです。
直訳すると「正しい石鹸の使い方」ですからね。
音楽スタイルも相当にユニークなバンドです。
商業的な成功を最初から狙ってないかのような音楽的な姿勢が伺えます。
しかし、リーダーの”Howard Devoto”(ボーカル)が、4作目のアルバム”Magic Murder & The Weather”の先行シングルが商業的な成功を得られな方ためにバンドを脱退したというエピソードを聞くと、本人たちは、やはり商業的な成功を望んでいたんですね。
(それなら、それ相応のやり方があると思いますが、それをしないのが彼らの信念だったと思います)
正しいマガジンの聴き方
それでは、アルバム”The Correct Use Of Soap”の中味を見ていきましょう。
恐らく、”Magazine”のサウンドを最初に聴いた人は、何か取っつきにくさを感じるのではないでしょうか。
でもこれこそが、”Magazine”の最大の魅力です。
何度も聴いているうちに、クセになります。
“You Never Knew Me”、コーラスを伴ったサビの部分は、全体的にけだるい雰囲気の中に一服の清涼感があります。
“Sweetheart Contract”、「けだるカッコいい」曲です。
一見単調なギターのフレーズに、キーボードのフレーズが効果的に絡んできます。
“Stuck”、このアルバムのMy Favourite Songです。
この曲のサビの部分は、アルバム中最も美しい部分だと思います。
このメロディー・センスをもっと多用すれば、アルバムセールスもアップするし、商業的な成功も約束されるのにと感じます。
そして、”Song From Under The Floorboards”は、このアルバムのハイライトです。
“Magazine”の楽曲の中では、比較的ポップ(聴きやすい)な曲である反面、歌詞の内容は、”I am an Insect”(昆虫)など、独特の世界感ですね。
シングル曲である”Song From Under The Floorboards”のB面に、”Twenty Years Ago”という曲がありますが、この曲の中に、”Twenty Years Ago I Used Your Soap”という歌詞があり、それがアルバム・タイトルの由来というから田山花袋のような文学的な思考していますね、”Magazine”というバンドは、・・・。
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ミュージシャンはマガジンが大好き
ところで、”Magazine”には、一時的に参加したメンバーも含めて、様々なバンドに加入していたミュージシャンがたくさんいます。
“Swing Out Sister”、”Ultravox”、”The Cure”(あ~、そう言えばなんとなく曲想が似ているなと妙に納得してしまいますね)などのバンドです。
>”Swing Out Sister”に関する記事はこちらから
様々なミュージシャンに影響を与えていたのでしょう。
ミュージシャンや評論家の間では、きっと支持されているバンドです。
そう言えば、私がまだ駆け出しのサラリーマンの頃、週末ともなると渋谷の「貸レコード屋」によく通いました。
(当時、CDがない時代で、LPをレンタルしていまいた。東京でも珍しかったと思います)
そこで、このアルバムをレンタルしたのですが、レジのお兄さん(たぶん出品者)が、うれしそうに「このアルバムの良さがわかるんですね」と無言で頷いていました。
「お店でかけるんですか?」とも聞いてきました。
そして、私が店を出るときに、もう一人の店員(こちらもたぶん出品者。若者が自分たちのLPを持ち寄って貸し出してレンタル料を稼ぐというビジネス・モデル。TUTAYAの前身か?)と顔を見合せって頷き合っていました。
私の手には、もう一枚のアルバム”The The”の”Soul Mining”がありました。
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