何の妖怪?
「キング・クリムゾン」。
良い子のみんなは、「妖怪ウォッチ」のテーマソングを歌っている「キング・クリームソーダ」のパクリだと思うかも知れません。
正直おじさんには、どちらが元祖かわかりません。
ただ、このアルバム「クリムゾン・キングの宮殿」のジャケットに描かれているおじさんの顔は、怖すぎるし、妖怪みたいですね。
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In the Court of the Crimson King: 40th Anniversary Series 新品価格 |
この怖いジャケットのアルバムは、ものすごく売れました。
当時のキャッチ・コピーは、「”The Beatles”の”Abbey Road”の売上記録を塗り替えた」と言うものでした。
(日本では、”Abbey Road”よりも”Let It Be”や”Long and Winding Road”、”Get Back”が収録されているアルバム”Let It Be”が好まれていると思いますが・・・)
21世紀はみな精神異常者?
このジャケットにして、これだけ売れたのは、当然中味が良かったからに違いありません。
最初の”21st Century Schizoid Man”(邦題:21世紀の精神異常者)ですが、21世紀という言葉に遠い未来を感じました。
そして、「精神異常者」、随分思い切ったタイトルだなと思いました。
しかし、現実に21世紀になってみて、「世の中、病んでいるな」と思うことが多々あります。
“King Crimson”は、こんな未来を既に感じ取っていたのかも知れません。
曲の方は、流れるように連打されるドラムにギターとブラスセッションが加わり、淡々と始まるのですが、途中でテンポが加速され超絶技法のオン・パレードです。
息の合ったという次元を超越したトップ・ギアと急停止を繰り返す部分は、一人一人の演奏技術は言うに及ばす、バンド全体のテクニックが相当程度なければ成せない業です。
緊張感がみなぎった”21st Century Schizoid Man”に続く曲は、”I Talk To the Wind”(邦題:風に語りて)です。
前の曲からの緊張感が一気に開放される優しい曲です。
後半部分のフルートの音色が心地良い曲です。
続くアルバムのハイライトは、”Epitaph”です。
“Epitaph”とは、「墓碑銘」という意味です。
(死者の生前の功績をたたえて墓石に刻まれ、古より詩の形式をとっていたということです。)
とても荘厳な曲です。
途中のアコースティックギターのソロの後に、ギターとドラムによる、「ドン、チン、シャーン」と繰り返される部分は、仏教の葬儀を思わせる厳かな雰囲気を感じさせます。
ロックシーンの歴史に刻まれる名曲と言えるでしょう。
King Crimson Epitaph 投稿者 macariosmith50
最後に、表題曲の”The Court of the Crimson King”は、エンディングを飾るに相応しいキーボードの織り成すメロディーが効果的に使われている曲です。
厳かな曲ですが、”Epitaph”ほど重たくなく、再び、フルートのソロが花を添えます。その音色は、”I Talk to the Wind”のそれよりも明るく軽やかです。
そして、主題のキーボード部分が繰り返され幕を閉じるという演出で、このアルバムを巧みに締めくくっています。
ポセイドンに目覚めた私
最初のアルバムが、あまりに衝撃的で話題性もあった”King Crimson”でしたが、2作目の”In the Wake of Poseidon”(邦題:ポセイドンの目覚め)は、曲の構成は前作に近いものがありましたが、その音の印象は大きく変わったような印象があります。
当時、洋楽と言ってもロック一辺倒であった私にとって、”Cat Food”は馴染めましたが、その他の曲では、ジャズ・テイストが加わり、いささか敬遠気味のアルバムでした。
しかし、最近、歳を重ねるごとにジャズも聴くようになってくると、このアルバムの良さがだんだんわかるようになってきました。
(自分の耳がいかに稚拙であったと思いました)
曲のクオリティも前作に決して劣ることのないものばかりです。
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