迷ったらこの1枚「おすすめのアルバム」は、”Time and Tide“です。
バック・コーラスからメイン・ボーカルへ
アルバム “Whose Side Are You on” を最後に、”Matt Bianco”から脱退した”Basia Trzetrzelewska”と”Danny White”でしたが、その後、発表したアルバムが、この”Time And Tide”です。
“Matt Bianco”時代は、コーラスに甘んじていた”Basia”でしたが、このアルバムで、ようやくシンガーとしての才能が花開いたという感じでしょう。
その才能に、いち早く気づいていたのは、やはり”Danny White”でしょう。
“Matt Bianco”時代に、”Basia”の歌声が、ほんのアクセント程度にしか使われなかったことを不遇に感じていたと思います。
それとともに、彼がやりたかったのは、こういう音楽なのだなと感じました。
“Time and Tide” の魅力
さて、アルバム”Time and Tide”ですが、”Basia”の伸びやかな歌声を最大限に活かす楽曲であると同時に、”Matt Bianco”の音よりも、落ち着き、ファンク色も薄れ、随分洗練された印象です。
軽快なサウンドでありながら、”Basia”のボーカルも曲全体も力まず、心地よいリズムが淡々と刻まれていく感じです。
1曲目の”Promises”は、そんな”Basia”と”Danny White”の求めている音が、見事に表現された、「これが私たちの追求する音楽です」と高らかに宣言するかのような曲です。
3曲目の表題曲である”Time And Tide”は、ゆったりとしたテンポで、しっとりとそして力強く歌い上げる曲です。
そして、6曲目から10曲目までは、私の好きな曲が怒涛のように続きます。
しかも、1曲1曲それぞれ表情の違う個性的な曲群です。
まず、最初は、”New Day for You”です。
軽やかなリズムに、伸びやかな歌声が実によくマッチした心躍る一曲です。
続いて、私がとりわけ気に入っている”Prime Time TV”です。
これぞ、”Basia” の真骨頂といった曲で、”Basia”の声も心なしか生き生きと感じられます。
トランペットやサックスのブラスセッションや、ギターのカッティングも奮ってます。
さらに、”Astrud” です。
アルバム中、最も完成度が高いのではないかと思われます。
声の響きといい、ピアノの間奏といい、サックスのソロ部分のカッコ良さといい、その後の名曲 “Crusing for Bruising” (アルバム “London Warsaw New York” に収録)や、”Drunk of Love” (アルバム “The Sweetest Illusion” に収録)に繋がっていく予感を感じます。
>アルバム”London Warsaw New York”に関する記事はこちらから
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>アルバム”The Sweetest Illusion”に関する記事はこちらから
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続いて、”Miles Away”です。
“Prime Time TV”と肩を並べるお気に入りの一曲です。
まるで呼吸をするような感覚で、軽やかに歌い、聴く者を幸福な空気で包込むようなそんな素敵な世界に誘ってくれます。
楽曲も見事ですが、ボーカルと各楽器の掛け合いも美しく調和しています。
深くソファーに座り、目を瞑りながら聴きたい曲です。
“My Favourite Medley”(勝手にメドレーと呼んでいます)の最後を飾るのが、”How Dare You” です。
前奏から、とてもノリがいい曲です。
こういうアップ・テンポの曲でも、”Basia”の伸びやかな歌声が、十分発揮できないということはないですね。
もう変幻自在です。
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ライブはのりのり
総じて、落ち着いていた雰囲気で、伸びやかな声を武器に、センスあふれる楽曲にのって小気味良く歌うイメージが強い”Basia”ですが、ライブ・アルバム ”Basia on Broadway” で以外な一面を発見しました。
“Broadway”という舞台のせいか、すごく気合いが入っていました(他のミュージシャンも相当気合が入っていました)。
1曲目の”Copernicus”では、エネルギッシュで、エモーショナルな”Basia”がそこにいました。
「この曲(アルバム ”London Warsaw New York” に収録されています)、こんなにはじけていたっけ」。
曲の印象もがらりと変わりました。
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“Basia”は、歌声自体がとても魅力的で、歌唱力も十分ですが、その感性もとても豊ですね。