“City Boy”の3作目のアルバムです。
まるで映画のワン・シーンのようなアルバム・ジャケットですが、アルバムの内容も一つの映画のサウンド・トラックを聴いているかのような印象です。
一曲、一曲聴いても素晴らしい曲はありますが、アルバムを通して聴く醍醐味を味わうことができる貴重な作品です。
是非、アルバムを通しで聴いて、”City Boy”のドラマを多彩な楽曲とともに堪能してみてください。
<曲目リスト>
- Bordello Night
- Dear Jean (I’m Nervous)
- Honeymooners
- She’s Got Style
- Bad For Business
- Young Men Gone West
- I’ve Been Spun
- One After Two
- The Runaround
- The Man Who Ate His Car
- Millonaire
ようこそ、ミステリー・ロマンスの世界へ
1曲目の”Bordello Night”: いよいよ、”City Boy”演出のドラマの幕開けです。
舞台は、まさにアルバム・ジャケットのイメージの世界です。
“Bordello”とは、文字にするのも憚られますが、「売春宿」の意味です。
なにか怪しげな雰囲気のオープニングですね。
“10cc”のアルバム”The Original Soundtrack”の”Une Nuit A Paris”の一幕を思わせます。
そして、”City Boy”の魅惑の”Mystery Romance”がこの先、あなたを待ち受けています。
>アルバム”The Original Soundtrack”に関する記事はこちらから
4曲目の”She’s Got Style”: “Get Style”とは、「カッコいい」とか「クール」という意味で、”She’s Got Style”は、「彼女はイカしている」と言った感じでしょう。
悲しいかな、男たちは、みな彼女の虜となってしまうのです。
歌詞中の”Galbo”とは、スウェーデン生まれのハリウッド映画女優”Greta Garbo”「グレタ・ガルボ」のことでしょうか。
瞳の美しい、”Get Style”な女性です。
勿論、曲の方も、”Get Style”なクールな曲です。
6曲目の”Young Men Gone West”: “Singles Bar”「シングル・バー」あたりでたむろし、”Gin”「ジン」や、”Vermounth”「ベルモット」(白ワインをベースに香草やスパイスを配合して作られるフレーバードワイン)をちびちびやっている若い男たちの哀愁が漂う歌です。
7曲目の”I’ve Been Spun”: 歌詞がとてもユニークな曲です。
“Ronnie”は、どこへ行くにも”Radio”を持って出かける。
“Nicolas”は、”Cockatoo”(オウムの一種)をいつも連れて歩いている。
“Cos,Everybody Needs Somebody”「誰もが誰かを必要としている」。
“I’m Still Needing You”「それで、僕も君が必要なんだ」。
随分と、遠回しな求愛ですが、その後の歌詞がまた奮っています。
“I’ve Been Spun and Spin-dried, But Still the Tears Fall from My Eyes”「脱水機(洗濯物の遠心脱水装置)にかけても、僕の涙は枯れることがない。」
“Do Me a Favour and Wring Me”「お願いだから、僕を絞って!」
涙ぐましいぐらい悲哀を帯びた曲ですが、楽曲の方はかなりイカしています。
8曲目の”One After Two”: “Why Should I Worry?” 「心配することはないさ」
“I’m Only a Number”「僕なんか単なる数合わせさ」”Who’Cares?”「誰が気にするってんだ」
“Please Leave Me Alone”「ほっといてくれよ」
失恋の傷心はかなり深そうです。
9曲目の”The Runaround”: 夢見るような幻想的な曲です。
どこまでが夢でどこまでが現実か定かではない軽い眩暈を覚える美しいメロディーに酔いしれてしまいそうです。
10曲目の”The Man Who Ate His Car”: もうここまでくると「自分の車を食う男」なんて曲のタイトルは尋常じゃないです。
11曲目の”Millonaire”: 西へ西へ向かった若者の末路はどうなったのでしょう。
“Bad Times Never Last”「悪い時は、永遠に続くわけではない」。
最後には栄光をつかんだのでしょうか。
最近、音楽鑑賞していますか?
「音楽鑑賞」という言葉がありますが、最近あまり耳にすることはなくなりました。
最近は、音楽はネットからダウンロードして、携帯音楽プレーヤーでどこでも、気軽に聴ける時代になりました。
ダウンロードも一曲単位でできるし、自分の気に入った曲だけのプレイ・リストを作っている人も多いでしょう。
“City Boy”の曲は、気に入った曲を一曲だけ聴くという聴き方も勿論「アリ」でしょうが、アルバム一枚を通して聴く方が、その良さをより理解できると思います。
まさに、”City Boy”の音楽を鑑賞するという表現がしっくりときます。
鑑賞に堪えられる数少ないアーティスト、それが”City Boy”です。
しかも、メロディーも秀逸で楽曲も親しみやすい曲調なので、”Pink Floyd(ピンク・フロイド)”のように正座して聴く必要はありません。
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