“Hall&Oates”の名を世に知らしめた”Wait For Me”が収録されているアルバムです。
世間では、”X-static”をブレイク直前のアルバムなどと評することが多いですが、私の中では、前作”Along the Red Ledge“の”It’s a Laugh“で、ブレイクの予感がしました。
そして、”Wait For Me”で完全にやられました。
その時は、このアルバムが、”Hall&Oates”の頂点だと思いました。
しかし、多くの批評家が言うように、”X-Static”は、やはりブレイク直前のアルバム(商業的には)でした。
その後の、曲やアルバムが、”Wait For Me”やアルバム”X-Static”よりも、さらに、売れるとは思いませんでした。(今でも、”X-Static”と”Voices”は、”Hall&Oates”の音楽的な頂点だと信じています)
<曲目リスト>
- Woman Comes And Goes
- Wait For Me
- Portable Radio
- All You Want Is Heaven
- Who Said The World Was Fair
- Running From Paradise
- Number One
- Bebop/Drop
- Hallofon
- Intravino
大ブレイクの予感! “Wait For Me”
1曲目の”Woman Comes And Goes”:このアルバムから、エレキギターの役割が重要になってきました。
それとともに、ロック度、ポップ度が高まってきました。
人気も今後、急上昇する予感がします。
2曲目の”Wait For Me”: 前奏ですでに、名曲の雰囲気が漂ってきます。
鮮烈なギターのメロディーが実にカッコいいですね。
(このアルバムで、エレキギターのウエイトが高くなってきていると感じます。)
Aメロ部分で、予感は確信に変わります。
“Hall&Oates”の黄金時代の幕開けです。
正直、これ以上の曲が今後生まれるのか疑問でした。
3曲目の”Portable Radio”:曲名がそのままアルバム・ジャケットにもなっています。
今の若い人は”Portable”と言うと胸ポケットに収まるサイズを連想するでしょう。
「どこが、携帯(Portable)?」とツッコミたくなるでしょう。
一方、曲の方は、結構モダンですね。
ファンキーなベース・ギターと小刻みなパーカッションのリズムは、初期の”Heaven17“を彷彿させます。
(そう言えば、このアルバム”X-Static”の邦題は、「モダン・ポップス」でしたね)
一見、オーソドックスな曲調や歌唱法の”Hall&Oates”ですが、以外と先駆的な音楽上の試みをしていますね。
例えば、”I Can’t Go For That (No Can Do)“(アルバム”Private Eyes“に収録)の前奏に見られる前衛的な音は、”Simply Red“にも影響を与えました。
4曲目の”All You Want Is Heaven”:確かにモダンな音です。
次作のアルバム”Voices“に収録されているヒット曲”Kiss On My List“の土台がすでに出来上がっています。
メロディーも秀逸です。
5曲目の”Who Said The World Was”: エレクトリックなサウンドも取り入れながら、飛び切りキャッチーなメロディーが聴かれます。
8曲目の”Bebop/Drop”: キレキレなギターが響き渡り、”Daryl Hall”と”John Oates”が交互にボーカルを務めるドライブがかかった曲です。
懐かしい DUO全盛時代
前作のアルバム”Along the Red Ledge”で、ポップ・ミュージックの萌芽を感じましたが、本作”X-Static”で、ポップ・ミュージック全開という状態になりました。
楽曲も素晴らしく、”Daryl Hall”の伸びやかで美しい歌声で次々にヒット曲が生まれるのは必然のように思いますが、一抹の寂しさも覚えます。
あまりに、”Daryl Hall”が前面に出すぎて、”John Oates”が単なるバック・コーラスになっているような傾向にあると思えるからです。
“X-Static”以前の作品には、”Daryl Hall & Jone Oates”の「さすがDUO!」と言える2人の息のあったハーモニーや掛け合いが楽しめる曲がいくつもあります。
例えば、”Alone Too Long“(アルバム”Daryl Hall & John Oates“収録)です。
または、”When The Morning Comes“(アルバム”Abandoned Luncheonette“収録)です。
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