“Sade(シャーデー)”の3作目のアルバムです。
“Stronger Than Pride”「”誇り”よりも強いもの」、”Sade”にとって、それは”Love”:「愛」でした。
“Sade”は、デビュー以来、一貫して、「愛」を歌ってきました。
彼ら(”Sade Adu”と言った場合、シンガーの”Sade”を、単に、”Sade”といった場合は、バンドを指します)を一躍有名にした”Your Love Is King”も愛をテーマにした曲でした。
その後も、”Love Deluxe”、”Lovers Rock”、”Soldier of Love”と「愛」を歌い続けます。
勿論、この”Stronger Than Pride”も「愛」を綴ったアルバムです。
<曲目リスト>
- Love Is Stronger Than Pride
- Paradise
- Nothing Can Come Between Us
- Haunt Me
- Turn My Back On You
- Keep Looking
- Clean Heart
- Give it Up
- I Never Thought I’d See The Day
- Siempre Hay Esperanza
「誇り」よりも強いものは? それは「愛」!
1曲目の”Love Is Stronger Than Pride”: 「誇りよりも強いもの」それは、”Sade”にとって「愛」のようです。
この表題曲とも言える”Love Is Stronger Than Pride”の音を聴いてみると、従来の華やかな”Sade”の音と随分、様変わりをしているように思えます。
今後の”Sade”の音を象徴するような研ぎ澄まされた音です。
“Sade Adu”の歌う「愛」も、甘ったるい愛ではなく、一本芯の通った何か決意を感じさせるような厳かな愛を思わせます。
(後の、”Soldier of Love”「愛の戦士」と言った曲にも通じるものがあります。)
それは、”Waiting for the Sun to Rise”というような歌詞からも感じられます。
2曲目の”Paradise”: 一転して、従来の”Sade”の音とも言えなくはないでしょう。
ところで、”Paradise”と”Heaven”の違いは何でしょうか?
“Heaven”は、特定の場所とは無縁の普遍的な世界で、”Paradise”は当事者にとっての特別な場所を指しているように思えます。
“I’m Yours”、”You’re Mine”、”Like Paradise”愛し合う2人の世界は、まさにパラダイスなのでしょう。
3曲目の”Nothing Can Come Between Us”: 「なにものも、私たちの間に入り込む余地はない」。
勿論、「愛する2人の間に」という意味でしょうが、「”Sade”というバンドに」という意味にもとれます。
前々作”Diamond Life”、前作の”Promise”の華やかなサウンドから、一転して、余分なものを削ぎ落として研ぎ澄まされた音に変わっていく”Sade”の音楽を感じずにはいられません。
“Sade”というバンドには、他のメンバーが入り込む余地がないというバンドの結束にも取れますし、”Sade”という音楽には、流行りの音楽とか、飾られた音が入り込む余地がないという彼らの信条が読み取れます。
このアルバムを境に、”Sade”の音がよりシンプルに独自の音楽性を深めていくように思えます。
5曲目の”Turn My Back On You”: 従来の”Sade”にない独特のリズムが新鮮な曲です。
このリズムが今後の唯一無二の”Sade”の音を形成していくのです。
6曲目の”Keep Looking”: “Sade Adu”の妖艶な歌声が魅惑的な楽曲とともに味わえる曲です。
艶やかな”Sade du”に、”Keep Looling”「釘付けになる」こと必至でしょう。
7曲目の”Clean Heart”: 「愛」は愛でも、こちらは、「家族愛」です。
“He Loved Her Like a Italian”:「彼の彼女への愛と言ったら、まるでイタリア人並だ」というフレーズは興味深いですね。
(歌詞中の”Her”とは、母親を指しています。)
イタリア人の家族の結び付きが強いって話は有名です。
成人男性でも、マンママンマとよく言っているようです。
「誇り」は自分のため 「愛」はひとのため
「誇りよりも強いもの」、それは「愛」でした。
“Sade”の指す「愛」は、男女の愛だけではなく、「家族愛」なども含まれるのでしょう。
バンドとしての結束の硬さとしての「バンド愛」、自らが追い求めている音楽への愛、様々な愛が挙げられます。
そして、その愛への思いの強さがあるからこそ、「愛は、誇りよりも強いもの」なのでしょう。
「誇り」とは「自尊心」など自分のためのものですが、「愛」は、他者への思いやりですから、人は、自分のためよりも、誰か他のひとのために行動するときの方が強くなれるのでしょう。
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