“Oasis”の4作目のアルバムです。
アルバム・タイトル”Standing On The Shoulder Of Giants”を直訳すると、「巨人の肩の上に立って」という意味ですが、「巨視的な視点で世界を眺めてみると」というニュアンスになるでしょう。
前作の”Be Here Now”が、前々作の”(What’s The Story) Morning Glory?”の商業的な成功で、次は何か音楽的に高い次元のものを作らなければという気負いからでしょうか、肩に力が入りすぎているように感じました。
もともと非凡な才能を持った”Oasis”のことですから、自分たちのひらめきを信じて自然に曲作りを進めていけばかなりの傑作は期待できると思いますので、巨人の肩の上から、世界を眺めてみるぐらいの余裕はあった方が良い結果が生まれると思います。
<曲目リスト>
- Fuckin’ in the Bushes
- Go Let It Out
- Who Feels Love?
- Put Yer Money Where Yer Mouth Is
- Little James
- Gas Panic!
- Where Did It All Go Wrong?
- Sunday Morning Call
- I Can See a Liar
- Roll It Over
巨視的視点で世界を見渡した”Oasis”の新しい音楽
1曲目の”Fuckin’ in the Bushes”: そうです。”Oasis”の感性をまっすぐにぶつければいいのです。
前作”Be Here Now”はちょっと懲りすぎたきらいがありました。
曲のインスピレーションは、”OMD”の”Southern”(アルバム”Pacific Age”に収録)に通じるものがあります。
2曲目の”Go Let It Out”: “Be Her Now”のもやもやが晴れました。
“(What’s The Story) Morning Glory?”の楽曲のクオリティーを取り戻しながらも、より高い次元の音楽への進化を果たしました。
ようやく吹っ切れました。
納得の一曲です。
3曲目の”Who Feels Love?”: 東洋的な音楽に、シタールの起用と言えば、”The Beatles”時代のインド音楽に傾倒した”George Harrison”を思い起こさずにはいられません。
巨人の肩にのり、見据える先に、世界が見えているのかもしれません。
いえ、ロック界の巨人”The Beatles”のその先を見ているのでしょうか。
6曲目の”Gas Panic!”: “(What’s The Story) Morning Glory?”の各曲ほど、キャッチーでも、わかりやすくもありませんが、楽曲のクオリティーは明らかに進歩しています。
気軽に口ずさむような曲ではありませんが、”Liam Gallagher”の歌声をじっくり聴き入る価値のある曲です。
7曲目の”Where Did It All Go Wrong?”: ボーカルは、”Noel Gallagher”が務めています。
兄弟とはいえ、弟の”Liam Gallagher”とは、声質も異なり、また”Oasis”の違った魅力を感じます。
8曲目の”Sunday Morning Call”: こちらも、”Noel Gallagher”がボーカルを担当しています。
しっとりとしたバラードで、楽曲の美しさが際立っています。
サビの部分の盛り上がりがとても印象的で、ギター・ソロも魅力十分で、”(What’s The Story) Morning Glory?”収録の”Noel Gallagher”が歌う”Don’t Look Back in Anger”に匹敵する名曲です。
肩の力を抜いてもこの実力 世界の”Oasis”
本人たちは、どう思っているか知りませんが、前作の”Be Here Now”は、前々作の”(What’s The Story) Morning Glory?”の商業的な成功で、次はもっと次元の高い音楽を作ってやろうと意気込みが感じられましたが、その強い思いが、曲をより複雑なものにしてしまい懲りすぎた様相がありました。
今回は、一段、いえ数十段高みに上り、より高い視点で自分たちの音楽を見直そうという姿勢が感じられました。
自分たちの感性を信じ、よりストレートな表現で”Oasis”の新しい音楽観を見せてくれました。
マンチェスターで生まれたブリット・ポップを世界基準にした”Oasis”の力を見せつけてくれる一枚です。
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