“Swing Out Sister”の7作目のアルバムです。
まるで、一枚のアルバムがまるまる一曲とも思える統一感のある作品です。
一つのテーマが、繰り返し用いられるとともに、曲間をつなぐブリッジにも使われ、さらに驚くことに、曲のハイライト部分にそれとなく挿入される手の込んだ手法も見せてくれます。
アルバム全体の雰囲気は、夢見るような美しい”Swing Out Sister”の上質なサウンドが終始繰り広げられます。
<曲目リスト>
- Through The Sky
- Will We Find Love?
- Somewhere Deep In The Night
- The Vital Thing
- What Kind Of Fool Are You?
- Suspended In Time
- Alpine Crossing
- Fool Tag
- Where The Hell Did I Go Wrong?
- Non E Vero Ma Ci Credo
- Touch Me Now
- The Vital Thing (Take B)
- Where Do I Go?
- Now Listen To Me
アルバム全体が一曲のような統一感
1曲目の”Through The Sky”: 映画のサウンド・トラックを思わせるような曲です。
曲を聴いただけでいろいろな情景が浮かんでくるようなイマジネーションを刺激する曲調です。
2曲目の”Will We Find Love?”: ストリングスも駆使され曲全体が美しい仕上がりになっています。
“Corinne Drewery”の伸びやかな歌声が、清楚なメロディーによくマッチしています。
3曲目の”Somewhere Deep In The Night”: 上質な旋律は、クラッシク音楽の繊細さに通じるものがあります。
今後、”Swing Out Sister”の音楽が、ジャズとの融合を見せていきますが、このビッグ・バンドでの演奏はジャズのテイストを感じます。
5曲目の”What Kind Of Fool Are You?”: 間違いなくこのアルバムの最高傑作です。
硬質で金属的なギターの音が新鮮で、”Corinne Drewery”の優しく包こむような歌声との対比が見事です。
このアルバムが、ひとつのテーマ(主題)をところどころに忍ばせ、まるでアルバム全体がひとつの曲であるかのような構成になっています。
ややもすると、単調な感じになりがちなアルバムを、この”What Kind Of Fool Are You?”の極上のメロディーが解き放つ強烈な印象でメリハリが効いた内容にしています。
この曲のハイライト部分に、アルバムの主題をそっと忍ばせているところも心憎いばかりのテクニックです。
9曲目の”Where The Hell Did I Go Wrong?”: “Corinne Drewery”のささやくような歌声で始まるこの曲は、途中伸びやかな歌声とともに、美しい盛り上がりを見せます。
トランペットの音が、曲の彩をより豊かなものにしています。
11曲目の”Touch Me Now”: クラッシク音楽の「ボレロ」(ラヴェル作曲)のような緊迫した雰囲気の音で始まるのですが、やがて、”Corinne Drewery”の透き通るような歌声で、心地良い、いつもの”Swing Out Sister”の音楽にぐっと引き寄せます。
13曲目の”Where Do I Go?”: うっとりするような美しいメロディーで、夢見ごちの気分になるでしょう。
女性のバック・コーラスと”Corinne Drewery”の歌声が重なり合って、とても魅力的な曲に仕上がっています。
クラッシク音楽との親和性
このアルバム”Somewhere Deep In The Night”は、ウキウキするようなポップな曲調の曲はありませんが、夢見るようなうっとりとする世界が待っています。
ひとつのテーマ(主題)が、ところどころに散りばめられ、アルバムの統一感があり”Swing Out Sister”の心地良い音楽の世界にゆっくりと身を任せることができます。
今後、ジャズとの融合を進めていく”Swing Out Sister”ですが、このアルバムに関してい言えば、ジャズよりもクラッシク音楽との親和性を感じます。
それほど、優美で繊細な音に仕上ているように思えます。
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