“Depeche Mode”4作目のアルバムで、前作の”Construction Time Again”から比べるとメンバーも曲調も随分と大人びたという印象があります。
特に、ボーカルの”Dave Gahan”の歌声が大人びて、渋さが加わったと思います。
そして、”Martin Gore”のソング・ライティング力の向上です。
前作”Construction Time Again”、前々作の”A Broken Frame”の成功で、すっかり自信を深めたことでしょう。
本作”Some Great Reward”で、その能力はいかんなく発揮されました。
<曲目リスト>
- Something to Do
- Lie to Me
- People Are People
- It Doesn’t Matter
- Stories of Old
- Somebody
- Master and Servant
- If You Want
- Blasphemous Rumours
大人びたボーカルと楽曲
1曲目の”Something to Do”:前作”Construction Time Again”で進化した”Depeche Mode”の音が、この”Some Great Reward”で飛躍的に向上しました。
1曲目のこの進歩を実感することができます。
アップ・テンポの曲ながら、より成熟した音へと変わった印象があります。
曲全体の音が落ち着いてきた感じがします。
2曲目の”Lie to Me”:2作目の”A Broken Frame”の叙情的なメロディーと、3作目の”Construction Time Again”の音の組み合わせによる妙技を併せ持つような曲です。
これまでのアルバムでの曲づくりの経験を積み重ねながら、着実に進歩を遂げている姿が見て取れます。
3曲目の”People Are People”:”Depeche Mode”の音の組み合わせによる妙技という特性が最大限発揮されています。
しかも、音と映像のコンビネーションは見事です。
特に、前奏部分の戦車の発泡とパーカッション・ライクの電子音には脱帽です。
何といっても、曲の出来映えは秀逸で、この曲で”Depeche Mode”の人気を不動のものにしたと言っても過言ではありません。
6曲目の”Somebody”:珍しく、”Martin Gore”がボーカルを担当しています。
ピアノの伴奏をバックに、歌う”Martin Gore”、エレクトリック・ポップを封印しています。
電子音による音の組み合わせにも頼らない楽曲の素晴らしさのみでの真剣勝負です。
じっくり聴かせる”Depeche Mode”の誕生です。
7曲目の”Master and Servant”:”People Are People”にも勝るとも劣らない楽曲の仕上がり具合です。
“Depeche Mode”の手にかかると電動ドリルもりっぱな打楽器と変貌します。
しかし、この曲の魅力も卓越したソング・ライティング力によるところが大きいでしょう。
9曲目の”Blasphemous Rumours”:このアルバムの最高傑作です。
“Depeche Mode”が、また階段を一段駆け登ったという印象があります。
間奏のメロディーや電子音の美しい響きに聴き惚れてしまいそうです。
“Depeche Mode”の電子音による組み合わせの妙技がなかったとしても、楽曲の美しさだけで十分名曲と言える作品です。
それほど、優れたメロディー・ラインを持った曲です。
もう代役とは呼ばせない!
デビュー・アルバムの発表後、それまで、ソング・ライティングを担当していた”Vince Clarke”が、バンドを去ることになりました。
急遽、代役として、”Martin Gore”が曲作りを担っていくわけですが、”A Broken Frame”や”Construction Time Again”の2枚のアルバムにおいて、バンド存続の危機を見事に救いました。
そして、この”Some Great Reward”では、もう誰も「代役」などという言葉は使わなくなるでしょう。
また、”Depeche Mode”のこれからの活動を不安視する声は完全に途絶えるでしょう。
それほど”Some Great Reward”の各曲はクオリティが高くアルバムの内容も充実していました。
このアルバムを契機に、”Depeche Mode”の黄金時代はまだまだ続いていくのです。
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