話題の”Queen”の映画”Bohemian Rhapsody(ボヘミアン・ラプソディ)”で、メジャー・デビューを果たした”Queen”が、”BBC”に出演するというシーンで演奏されていた曲が、このアルバム”Sheer Heart Attack”に収録されている”Killer Queen”でした。
オリジナル・アルバム3作目にあたるこのアルバムは、”Queen”が英国のバンドであることを改めて感じさせるサウンドが展開されています。
もともと、”Queen”というバンド名自体、英国の香りがプンプンしてきますが、代表曲の”We Will Rock You”や”We Are The Champions”などの曲は、あまり英国のロック特有のシニカルな部分は感じられませんでした。
しかし、この”Sheer Heart Attack”というアルバムには、思わずニヤッとさせられるウィットに富んだ英国ロック・サウンドが繰り広げられます。
曲目リスト
- Brighton Rock
- Killer Queen
- Tenement Funster
- Flick of Wrist
- Lilly of the Valley
- Now I’m Here
- In the Lap of the Gods
- Stone Cold Crazy
- Dear Friends
- Misfire
- Bring Back that Leroy Brown
- She Makes Me(stormtrooper in stilettos)
- In the Lap of the Gods … revisited
“Queen”はやはり英国のロック・バンドだった!
1曲目の”Brighton Rock”:
なにやら、このアルバム”Sheer Heart Attack”には、”10cc”や”City Boy”、”Supertramp”などの英国のロック・バンドを彷彿させる英国ロック特有のシニカルでウィットに富んだサウンドが随所に見え隠れしています。
アルバムのオープニングを飾る”Brighton Rock”の冒頭部分は、”10cc”の代表曲”I’m Not In Love”が収録されているアルバム”The Original Soundtrack”のオープニング・ナンバー”Une Nuit A Paris”のパリの情景が浮かんでくる手法と重なります。
その後、”10cc”の方は、”Une Nuit A Paris”に続いて珠玉の名曲”I’m Not In Love”へと続いていくわけですが、一方の”Queen”の”Brighton Rock”から、”Killer Queen”への橋渡しも、前者に負けないぐらいの見事な演出だと思います。
改めて”Brighton Rock”の曲の方に目を向けてみると、作曲者”Brian May”らしいストレートなロック・ロールであると感じます。
ギター・リストが書いた曲だけあって、間奏のギター・ソロも存分に聴け、津軽三味線さながらの超絶的な技法が披露されています。
2曲目の”Killer Queen”:
何度も耳にしているので、すっかり、お馴染みのメロディーですが、こんな曲、”Freddie Mercury”以外には思いつかないコペルニクス的展回
とも言うべき名曲です。
楽曲のすばらしさは、言うに及ばずですが、この曲のすばらしさは、メンバーのハーモニーです。
人間の歌声だけで、これだけのサウンドが作れるのかと驚嘆するばかりです。
映画”Bohemian Rhapsody(ボヘミアン・ラプソディ)”のシーンでも、”BBC”のスタジオ・ライブの際に、BBC側から、「口パク」でやってくれないか(「BBCなんで・・・」:※「NHKなんで・・・:ゼネラル・エグゼクティブ・プレミアム・マーベラス・ディレクター兼
『LIFE!』のスーパーバイザー三津谷寛治」参照)という指示がでましたが、私自身、このハーモニーはライブで再現できないだろうと思います。
4曲目の”Flick of Wrist”:
“Supertramp”のアルバム”Crime of Century”頃のサウンドを思い出させる演奏に続き、”City Boy”のドラマ仕立ての展開を感じさせるサウンドに英国ロック・ファンの心をくすぐります。
このアルバムには、スマッシュ・ヒットを敢えて狙っていない、ピリッとした小曲がたくさん散りばめられていて、次々と展開される魅惑の曲調にわくわくさせられます。
5曲目の”Lilly of the Valley”:
2分足らずの小曲ですが、この短い曲の中に、比類なき美しさと壮大なスケールを見事に表現しています。
この曲もそうですが、このアルバムの中には、もう少し曲に色をつけて膨らませればシングル曲として十分通用するのではないかという曲がいくつもあります。
商業的には、もったいない気がしますが、次から次へと湧き出て枯渇することのないアイデアの泉があるからこそ、彼らは、惜しげもなくアルバムに散りばめているのでしょう。
6曲目の”Now I’m Here”:
映画”Bohemian Rhapsody(ボヘミアン・ラプソディ)”では、多くのロック・ファンに支持され、飛ぶ鳥を落とすほどの勢いを見せる絶頂期の”Queen”を象徴する曲として使われていました。
映画のシーン同様、勢いがあり華のある曲です。
7曲目の”In the Lap of The Gods”:
8曲目の”Stone Cold Crazy”:
“In The Lap Of the Gods”のエンディングのピアノの伴奏が”10cc”の”The Wall Street Shuffle”(アルバム”Sheet Music”に収録)を思わせ、続く”Stone Cold Crazy”のギターの前奏が、同じく”10cc”の”The Second Sitting For The Last Supper”(アルバム”The Original Soundtrack”)を連想させるのは、私の単なる幻想でしょうか。
10曲目の”Misfire”:
このアルバムに収録されている数ある魅惑の小曲の中で、私がもっとも好きな曲は、ベーシストの”John Deacon”の作品”Misfire”です。
彼は、それほど多くの曲を書いているわけではありませんが、彼の曲は、”I Want to Break Free”、”Another One Bites the Dust”などかなりの確率で私のハートを射抜いています。
映画では知りえない”Queen”の魅力
“Killer Queen”や”Now I’m Here”以外の曲は、あまり聴く機会がない曲だと思いますが(CMなどでもあまり使われる機会がないので・・・)、この英国のロックらしさが随所に感じられる曲群は、昔からの”Queen”ファンには愛されるものだと思います。
私も、自然と流れてくる”Queen”の曲を聞いて、「”Queen”の曲というのは、だいたいこんな感じなのだな」と思い込んでいましたが、私自身が大好きな英国のロックを感じさせる曲がこんなにあるのだとは今まで気が付きませんでした。
こうした英国ロック色の強い魅力的な曲群は、映画”Bohemian Rhapsody(ボヘミアン・ラプソディ)では、あまり登場はしなかったのですが、この映画のおかげで、今まで知らなかった”Queen”の魅力を知るきっかけになったのは事実です。
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