“The Cars”4作目のアルバムです。
“The Cars”と言えば、ピコピコのキーボードが思い浮かびますが、ギターの役割が大きくなるにつれ、もともとあった楽曲の良さに磨きがかかり、このアルバム以降魅力的な曲がどんどん生まれています。
<曲目リスト>
- Since You’re Gone
- Shake It Up
- I’m Not The One
- Victim Of Love
- Cruiser
- A Dream Away
- This Could Be Love
- Think It Over
- Maybe Baby
楽曲の進歩!ピコピコ電子音は封印?
1曲目の”Since You’re Gone”:”The Cars”の音が飛躍的に進化しました。
この一曲を聴けば十分にわかります。
楽曲の良さは、前作までも感じられましたが、ここまでの到達度はありませんでした。
そして、ピコピコのキーボードが主だった音にも、変化が見られます。
間奏の憂いを帯びたギターの音などが象徴的です。
恋人を失った切ない想いを綴った”Ric Ocasek”のメランコリックな歌声が美しい曲調と良くマッチしています。
2曲目の”Shake It Up”:ノリの良い曲に、小気味良いギターの音が重なります。
間奏部分のソロもキーボードではなく、もうギターが主役となっています。
キーボードの使い方も、指一本で単調なメロディーを奏でるような使い方は影を潜め、楽曲ありきで、良いアクセント的な役割に徹しています。
3曲目の”I’m Not The One”:バラード調の曲も格段の進歩です。
デビュー当時、ニュー・ウェーブ・バンドともてはやされた時代がありましたが、当初からメロディー・ラインの美しさは持っていたと思います。
それが、この”I’m Not The One”で結実し、比類なき美しい作品となりました。
そして、それが次作のアルバム”Heartbeat City“の”Drive“へと発展していくのでしょう。
ブラスの音を思わせるようなキーボードの使い方も実に効果的です。
4曲目の”Victim Of Love”:あれっ?油断していると昔の”The Cars”の音に逆戻りしています。
これはこれで、”The Cars”の魅力なんですけどね。
6曲目の”A Dream Away”:時折聞こえるピチカートのようなキーボードの音色がアクセントとなっています。
間奏のキーボードのソロは単調ですが、メロディーが良いので十分魅力的な音となっています。
8曲目の”Think It Over”:初期のエレクトリック・ポップのような曲です。
“OMD“あたりが、”Electricity“でやりそうな音です。
キーボードを弾きながら、歌う”Benjamin Orr”の表情が渋くてカッコいいですね。
10曲目の”Maybe Baby”:ドラムの刻みが”The Cars”にとっては斬新で、サビの繰り返し部分が頭の中を駆け巡る印象的なフレーズとなっています。
“Heatbeat City”へいざ出発!
このアルバムで、”The Cars”も、楽曲の出来映えにすっかり自信を深めたのではないでしょうか。
それぐらい目に見える進化があったと思います。
“The Cars”のエンジンも全開で、次作の”Heartbeat City”に向けて一段ギアが入ったという感じでしょうか。
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