“Thompson Twins”の記念すべき出世作となるアルバムです。
アルバム中の”Lies”のヒットで一躍有名になった”Thompson Twins”ですが、他にも、”Thompson Twins”ならではの曲がいっぱい詰まったアルバムです。
個性的なバンドの個性豊な曲群を存分に味わって下さい。
<曲目リスト>
- Love On Your Side
- Lies
- If You Were Here
- Judy Do
- Tears
- Watching
- We Are Detective
- Kamikaze
- Love Lies Bleeding
- All Fall Out
楽器を選ばない、ポップ・センス
1曲目の”Love On Your Side”:実に、”Thompson Twins”らしい曲です。
リズム・バンド”Thompson Twins”の面目躍如といった感じでしょうか。
途中に、自身の”In the Name of Love”のフレーズがちらついています。
2曲目の”Lies”:多くを語る必要がないでしょう。
当時、私は、”Thompson Twins”を聴き始めたのは、”Hold Me Now”あたりからでした。
たまたま、出張先のフィリピンのホテルで、MTVを見たいたら、流れてきたのがこの曲でした。
一度聴いただけで、曲のカッコよさにしびれました。
それ以来、”Thompson Twins”のファンになりました。
3曲目の”If You Were Here”:あの名曲”Hold Me Now”にも、負けない美しい曲です。
ただ、荒削りの感は拭えませんが、ポップ・センスの片鱗は垣間見ることができます。
6曲目の”Watching”:この音です。この木琴の音が、”Thompson Twins”には欠かせないのです。
“Left”、”Right”の”Joe Leeway”と”Alannah Currie”の掛け合いが多少へんてこりんでも構わないのです。
それが、”Thompson Twins”の大事な個性です。
7曲目の”We Are Detective”:こちらも、”Thompson Twins”の個性爆発です。
“Thompson Twins”にしか作れない曲です。
カスタネットやおもちゃのような縦笛、ゴミ箱の蓋らしきもの(ドリフターズのコントに出てくるような「金たらい」のようなものを、”Joe Leeway”が棒切れで叩いています)などのチープな楽器が、豊かな音の世界を紡ぎ出しています。
独特のポップ・センスは、楽器を選びません。
8曲目の”Kamikaze”:後のアルバム”Here’s to Future Days”にも”Tokyo”という曲があり、「日本びいき」らしきところが伺えます。
しかし、外国のアーティストによくありがちな、中国との区別がはっきりできていない点は残念です。
もっと、日本文化を海外に向けて発信していかなければならないのだと思います。
9曲目の”Love Lies Bleeding”:軽快な音が、洗練されたメロディーに乗って流れてきます。
21世紀の今日でも十分通用するおしゃれな曲です。
全10曲、実に、多彩な曲で構成されています。
次作”Into The Gap”への橋渡し
その後、次作の”Into the Gap”でも”Thompson Twins”の独特の「音」は健在です。
“Quick Step & Side Kick”で見せた多様な音楽の中から、より、”Thompson Twins”のコアの部分が浮き出た”Love On Your Side”あたりの音を中心にまとめたのが、”Into the Gap”だと思います。
しかし、次第に「ギター・サウンド」をクローズ・アップさせるようになってきました。
それにしたがって、曲自体は洗練されていくのですが、”Thompson Twins”らしさは段々と薄れていくような一抹の寂しさを覚えました。
“Get That Love”程の出来具合いなら、「らしくなても」十分楽しめることはできるのですが、果たしてそんな名曲を生み出し続けることが可能なのでしょうか。
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