“Blur”の3作目のアルバムです。
前作の”Modern Life is Rubbish”、次作の”The Great Escape”とを合わせて、”Blur”3部作と称されるアルバムの一枚です。
多彩なサウンドが展開されているという点では、3枚のアルバムの中でも際立っていると思います。
エレクトリック・ポップを思わせる”Girls and Boys”や、美しい映画音楽を思い浮かべてしまいそうになる”To the End”と、どの曲も”Blur”の独特の感性を感じさせる曲が集められています。
<曲目リスト>
- Girls and Boys
- Tracy Jacks
- End of a Century
- Parklife
- Bank Holiday
- Badhead
- The Debt Collector
- Far Out
- To the End
- London Loves
- Trouble in the Message Centre
- Clover Over Dover
- Magic America
- Jubilee
- This Is a Low
- Lot 105
真面目さと不真面目さが同居
1曲目の”Girls and Boys”: “Blur”らしくないというのか、”Blur”らしいというのか形容の仕方に頭を悩ませる曲です。
“Blur”らしくないというのは、このようなエレクトリック・ポップ風の曲は、前作の”Modern Life is Rubbish”にも収録されていないし、次作の”The Great Escape”以降のアルバムにも登場しないからです。
もともと、”Blur”は、エレクトリック・ポップに分類されるようなアーティストでもありませんしね。
一方、”Blur”らしいというのは、エレクトリックなサウンドは駆使しながらも、ポップというほどはじけていない点です。
そして、曲中の”Ah,Ah,Ah,Ah,Ah,Ah~”という掛け声です。
前作の”Modern Life is Rubbish”の”For Tomorrow”や、次作の”The Great Escape”の”Charmless Man”でも彼らの独創的な掛け声が聴けます。
3曲目の”End of a Century”: やはり、”Blur”は、エレクトリック・ポップよりも、王道のロックが似合います。
「ブリットポップ」という一大ムーブメントを巻起こしたと言われている”Blur”ですが、その音楽性は王道のロックです。
ただ、”Blur”の皮肉っぽい歌詞と、ちょっと捻れたサウンドは、かなり独創的ですが。
この曲”End of a Century”に関して言えば、幅広い音楽ファンに受け入れられる正攻法のロック・ミュージックです。
4曲目の”Parklife”: 独創的な”Blur”が、ひねり出したさらに独創的な曲”Parklife”です。
語りかけるような(完全に語っている)ボーカルに、”Parklife~?”のコーラス、多少のメロディーはあるものの、表題曲に持ってくるには勇気がいります。
“Blur”ならできます。
6曲目の”Badhead”: 徒然なるままに作りましたという雰囲気の感じの曲ですが、メロディー・ラインなんかはよくできています。
時折、へんてこりんな曲も作る”Blur”ですが、作曲能力は相当長けていると思います。
9曲目の”To the End”: 時々、こんなすごい曲を作るからびっくりします。
美しい映画のサウンド・トラックのような音楽です。
次作の”The Great Escape”の”The Universal”などの品行方正な曲を急に作り出すので油断もスキもありません。
10曲目の”London Loves”: これぐらい捻れている方が、”Blur”らしくて好感が持てます。
“Girls and Boys”のように、エレクトリックなサウンドが駆使されていますが、”Blur”の持ち味がうまくでて効果的な使い方だと感じます。
ロンドン子も納得の曲だと思います。
15曲目の”This Is a Low”: 再び、真っ向勝負の曲です。
“Graham Coxon”のギターが堪能できます。
卓越したメロディー・メイカーだからこそできる戯れ
“Parklife”、非常に遊び心があるアルバムです。
しかし、卓越したメロディー・メイカーだからこそできる戯れです。
それこそが、一見、悪ふざけにも思える曲でも、やがて何度も聴きたくなるような魅力的な曲に変わってくる秘密なのでしょう。
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