“Blondie”の3作目のアルバムです。
パンク・ロックからの脱皮により、幅広い音楽ファンの支持を獲得した”Blondie”が、数多くの名曲を引っさげて挑んだのが、この”Parallel Lines”です。
“Heart Of Glass”の大ヒットは、今まで、パンク・ロックと敬遠していた音楽ファンを振り向かせるのに十分な出来事だったことでしょう。
“Deborah Harry”の容姿に頼ることの多かったバンドの魅力が、”Blondie”としての楽曲の良さで十分勝負できるほどの作品をこの”Parallel Lines”で揃えてきました。
<曲目リスト>
- Hanging On The Telephone
- One Way Or Another
- Picture This
- Fade Away And Radiate
- Pretty Baby
- I Know But I Don’t Know
- 11:59
- Will Anything Happen?
- Sunday Girl
- Heart Of Glass
- I’m Gonna Love You Too
- Just Go Away
完全無欠のポップ・ソングの大全集
1曲目の”Hanging On The Telephone”: 完全無欠のポップ・ソングです。
楽曲の良さ、キャッチーなメロディー、”Deborah Harry”の歌声、どれもが一級品です。
“Hang on the Telephone”で、「電話を切らないで」という意味になります。
キーボード奏者の”Jimmy Destri”が電話のコードで首を吊っているしぐさを見せますが、「意味が違うよ」とツッコミを入れたくなります。
曲の後半で、”Deborah Harry”がしゃがれ声になりますが、意図したものだと思いますが、カッコよさが2割増ぐらいになります。
2曲目の”One Way Or Another”: “One Direction”が、カバーしていますが、若い音楽ファンは、彼らのオリジナルだと思っている人も多いでしょう。
かなり忠実にオリジナルをなぞっています。
若い人が興味を持ってくれて嬉しく思います。
今なお、新鮮に聞こえるのは楽曲が優れていることの証でしょう。
3曲目の”Picture This”: 美しい前奏に続いて、”Tina Turner”(ティナ・ターナー)が歌います。
おっと失礼、”Tina Turner”ではありません。
髪型がちょっと似ていただけです。
堂々の歌いぷりも、やはり、ちょっと連想させますよね。
前奏から歌いだす直前のあのギターのフレーズもインパクトありますね。
曲の出来は秀逸で、この時期の”Blondie”、こんな簡単に名曲ができていいのかと心配になるほど、量産しています。
6曲目の”I Know But I Don’t Know”: “I Know”、やっぱり”I Don’t Know”(私、知らないわ)、”I Care”、やっぱり”I Don’t Care”(気になんかしてないわ)。
これでは、話が”Parallel Lines”「平行線」です。
冗談はさておき、”Blondie”初期の頃とはまた別のヘビーな音を出していますね。
間奏のドラムとベースのフレーズは、この頃の”Blondie”の音に比べるとかなり異色です。
ところで、アルバム・ジャケットの写真に白黒の”Parallel Lines”を背景にメンバーがポーズをとっていますが、ドラマーの”Clem Burke”(向かって右から2人目)の足元を見て下さい。
コンバースのスニーカーを履いていますが、右足に黒のスニーカー、左足に赤いスニーカーです。
当時みんな真似をしていましたね。(私だけかも知れません。今では、当たり前のファッションですが、当時はかなり白眼視された記憶があります。)
7曲目の”11:59″: とりわけヒットした曲というわけではありませんが、なかなか良いメロディー・ラインを持った曲ですね。
キーボードが奏でる旋律は、どこか懐かしさを感じます。
9曲目の”Sunday Girl”: “Cold as Ice Cream”「アイス・クリームのように冷たい」という形容が、曲中に出てきますが、”Sweet as Ice Cream”「アイス・クリームのように甘い」と表現したくなるような曲です。
曲調もとても甘く優しく、”Deborah Harry”の歌声もパンク・ロックの頃には想像もできないほどの穏やかで包込む優しさがあります。
アイス・クリームも溶けてしましそうな甘美な名曲です。
10曲目の”Heart Of Glass”: 空前の大ヒット作です。
“Blondie”の地位を不動のものとし、パンク・ロックと敬遠していた批評家の意識も一新させた曲ではないでしょうか。
曲の冒頭から”Deborah Harry”の天使のような歌声が聴けます。
同じディスコ・ソングの”Call Me”と比べて、ミディアム・テンポの美しいメロディーが魅力的な曲です。
全てをやり遂げた”Deborah Harry”の晴れ晴れとした表情が印象的です。
音楽殿堂入りも納得の功績
これだけ、充実した曲を揃えて、しかも、存在自体が魅力的な”Deborah Harry”をフロントに立てたら向かうところ敵なしでしょう。
しかし、作る曲、作る曲がこれだけの名曲というのも、驚異的です。
本当に一時代の音楽シーンを築き上げたという印象があります。
後に音楽の殿堂入りを果たすことになったのも頷けます。
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