【洋楽】おすすめのアルバム”Organisation” : “OMD”

洋楽アルバム紹介

OMDの2作目のアルバムです。

アルバム・タイトル(原題)は、”Organisation”ですが、邦題は、「エノラゲイの悲劇」でした。

アルバム収録中のシングル曲の”Enola Gay”をアルバム・タイトルにしたのは、当時、”OMD”の名を世に知らしめた代表的な曲であったためです。

“New Order”でいえば、さしづめ”Blue Monday”、”Human League”でいうところの”Don’t You Want Me”といったところでしょう。

当時、”OMD”を紹介する記事には、必ず「エノラゲイの悲劇」の”OMD”という枕詞がついていたほどです。

<曲目リスト>

  1. Enola Gay
  2. 2nd Thought
  3. VCL XI
  4. Motion And Heart
  5. Statues
  6. The Misunderstanding
  7. The More I See You
  8. Promise
  9. Stanlow
  10. Annex

忌まわしき悲劇、エレクトリック・ポップの幕開け

1曲目の”Enola Gay”: “Enola Gay”「エノラゲイ」とは、太平洋戦争末期のアメリカ陸軍の爆撃機「B-29」の機名です。

B-29の中で原爆投下用の改造が施された15機の内の1機と言われています。

1945年8月6日午前8時15分に広島市に原子爆弾「リトルボーイ」を投下したことで知られています。

「エノラゲイ」の機名の由来は、機長であるティベッツ大佐の母親、”Enola Gay Tibbets”「エノラ・ゲイ・ティベッツ」から採られたものです。

そのような日本人にとって、忌まわしい過去の歴史を思い起こす曲名ですが、曲調はいたってポップで、当時のエレクトリック・ポップの幕開けを象徴するかのような曲です。

歌詞に目をあててみると、”Enola Gay, You Should Have Stayed at Home Yesterday”「エノラゲイ、あたなは、昨日、家におとなしくいるべきだった。」とあります。

いえ、これからもずっとおとなしくしていて欲しいと思います。

2曲目の”2nd Thought”: アルバム”Organisation”の全体の音としては、唯一のシングル曲の”Enola Gay”よりも、この曲”2nd Thought”の方が、”OMD”の音をよりよく表現していると思います。

“Enola Gay”は、とびきりキャッチーな曲ですが、”OMD”の本来の音は、この曲の背景にあるような暗闇の中の静寂さに包み込まれたようなものです。

3曲目の”VCL XI”: エレクトリック・ポップのオルゴールの様なきらびやかな曲です。

5作目のアルバム”Junk Culture”の”Talking Loud And Clear”の原形とも思える不思議な魅力にあふれた作品です。

4曲目の”Motion And Heart”: ピアノが奏でる旋律にセンスの良さを感じずにはいられません。

エレクトリック・ポップというジャンルでありながら、”10cc”の”Une Nuit A Paris”(アルバム”The Original Soundtrack”)や、”Pilot”の”Passion Piece”(アルバム”Second Flight”に収録)にも通じる英国ロックの懐かしい音を感じます。

>アルバム”The Original Soundtrack”に関する記事はこちらから

>アルバム”Second Flight”に関する記事はこちらから

5曲目の”Statues”: “Enola Gay”ほどのインパクトはありませんが、2曲目の”2nd Thought”と同様に、初期”OMD”そして、このアルバム”Organisation”の音をもっとも代弁している曲だと思います。

間奏部分のシンセサイザーによる音は、”OMD”の幻想的な世界をよりよく表現しています。

エレクトリック・ポップの寵児のように扱われている”OMD”ですが、この独創的な曲調にこそ彼らの魅力が詰まっていると思います。

6曲目の”The Misunderstanding”: ピアノの軽快な音が、軽すぎず、どことなく憂いを帯びた音に聴こえるのは、ドラマチックな音の展開と程よい緊張感のある”OMD”特有の音作りのせいでしょう。

次作のアルバム”Architecture And Morality”のオープニングを飾る”The New Stone Age”への橋渡しとも言える曲です。

7曲目の”The More I See You”: エレクトリック・ポップらしいキャッチーなメロディーと、”OMD”らしい幻想的なメロディーが見事に融合されています。

“Telegraph”(アルバム”Dazzle Ships”に収録)で、完成の極みに達した”Andy McCluskey”と”Paul Humphreys”の2人のボーカルの掛け合いも、この曲でその萌芽が見られます。

シングル・カットされた”Enola Gay”以外の曲は、実験的な色合いが濃い作品が多いですが、その後の彼らの作品の中で、その成果は見事に結実していると思います。

8曲目の”Promise”: “Paul Humphreys”が、メイン・ボーカルを担当しています。

淡々と歌う中にも、あの名作の”Souvenir”(アルバム”Architecture And Morality”に収録)への飛躍を感じます。

もはや代表曲でなくなった「エノラゲイの悲劇」

“OMD”を紹介するときに、「エノラゲイの悲劇」の”OMD”という表現を見かけなくなりました。

“OMD”は、その後、”Joan Of Arc”(アルバム”Architecture And Morality”に収録)、”Tesla Girls”、”Locomotion”(ともにアルバム”Junk Culture”に収録)など、”OMD”を代表するような名曲を次々に発表したからでしょう。

それでも、”Enola Gay”は、偉大なアーティスト”OMD”を世に送り出した忘れることのできない名曲に変わりません。

そして、唯一の被爆国である日本にとっても、二度と繰り返してはいけない過ちとして、胸に刻んでおかなければならない出来事だと思います。

>”OMD”に関する記事はこちらから

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