“XTC”10作目のアルバムにして、”XTC”の完成形と言える作品です。
前作の”Oranges&Lemons”の「音楽お伽草子的な」多種多様な音のアソート・セットを引き継ぐかのようなアルバムです。
“Oranges&Lemons”ほどの賑やかさはありませんが、個々の曲に秘められたポップ・センスの豊かさが十分伝わってくる充実の作品です。
<曲目リスト>
- Ballad Of Peter Pumpkinhead
- My Bird Performs
- Dear Madam Barnum
- Humble Daisy
- The Smartest Monkeys
- The Disappointed
- Holly Up On Poppy
- Crocodile
- Rook
- Omnibus
- That Wave
- Then She Appeared
- War Dance
- Wrapped In Grey
- The Ugly Underneath
- Bungalow
- Books Are Burning
1曲目からエンジン全開!
1曲目の”Ballad Of Peter Pumpkinhead”:相変わらず、1曲目からエンジン全開です。
「最初は、聴衆の心をつかんでから、徐々に盛り上がりを見せて・・・」などという手順は、一切省略です。
前作のアルバム”Oranges&Lemons”の”Garden Of Earthly Delights”の如く、いきなりトップ・ギアです。
ロック魂炸裂のアルバム”Black Sea”の1曲目の”Respectable Street”よろしく「後先考えずにとにかく突っ走れ!」って感じです。
ただ、”Ballad Of Peter Pumpkinhead”、シンプルですけど、とてものりがいいですね。
一瞬ためを作ってから、鳴り響くギターの音も冴えています。
ハーモニカの音が、とても曲にマッチしていい味出しています。
とにかく、このアルバム最大の見せ場となる優れた楽曲です。
(だから、「山場をこんな最初に持ってきていいの?」って、いつも心配しています。)
3曲目の”Dear Madam Barnum”:「だからいいみたいです。」前半にキャッチーな曲をどんどん持ってきています。
5曲目の”The Disappointed”:曲名のわりには、明るい曲調です。希望すら湧いてきそうな印象の曲です。
円熟したポップ・センスが見事に結実した良質ポップ・ソングです。
10曲目の”Omnibus”:前作のアルバム”Oranges&Lemons”の”Garden Of Earthly Delights”の続編でしょうか、曲全体に、華やかなカーニバルのような雰囲気を感じさせます。
ブラス・セッションの音が、より軽やかに曲を彩っています。
12曲目の”Then She Appeared”:耽美な世界観を持っている曲です。
“Andy Partridge”にもこんなロマンティックな側面があったんですね。
この美しいメロディーにただ酔いしれるばかりです。女性の美しさを賛美するかのような曲です。
14曲目の”Wrapped In Grey”:しっとり聴かせる”XTC”のひとつの到達点とも言える曲です。
パンク・ロックからスタートした彼らから、誰がこの変化を想像することができたでしょうか。
これぞ、XTCというアルバムはありません
この”Nonsuch”というアルバムも然りですが、”XTC”のアルバムを1枚選んで、「これが”XTC”のサウンドですよ」と言い切れるアルバムは、皆無です。
それだけ、”XTC”のアルバムの多様性には類を見ないものがあります。
その多様性こそが、長きに渡って”XTC”ファンに愛される作品を作り続けた所以でしょう。
しかし、その中にも、根底に流れる英国のウィットやシニカルでありながらも極上のポップセンスという一貫した英国ロック魂があってこそのことだと思います。
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コメント
こんにちわ、
『ノンサッチ』『ドラムズアンドワイアーズ』『オレンジズアンドレモンズ』『スカイラーキング』は、スティーブン・ウィルソン編集のサラウンド版もありますから、よろしかったら、そちらもお聴き下さいませ。