“Simple Minds”5作目のアルバムです。
前作”Sons and Fascination”までのアルバムでは、ニュー・ウェーブ的な雰囲気が漂っていましたが、本作の”New Gold Dream”では、”Simple Minds”ならではの美しい世界観が感じられます。
これまでの作品が、UKエレクトリック・ポップの大きな波に彼ら自身も影響を受けてきましたが、ようやく5作目にして、彼らの原点となるべき音を作り上げたという印象です。
まさに、”Simple Minds”の「新たな黄金」期を迎えたといっても過言ではないでしょう。
<曲目リスト>
- Someone Somewhere (In Summertime)
- Colours Fly and Catherine Wheel
- Promised You a Miracle
- Big Sleep
- Somebody Up There Likes You
- New Gold Dream (81/82/83/84)
- Glittering Prize
- Hunter and the Hunted
- King Is White and in the Crowd
甘美メロディーで、あなたをいざなう”Simple Minds”の世界
1曲目の”Someone Somewhere (In Summertime)”:甘美なメロディーで、聴く者を虜にする、アルバム”New Gold Dream”を代表する曲です。
この曲で、”Simple Minds”の世界観がひしひしと伝わってくるはずです。
“XTC”の”Summer’s Cauldron”(アルバム”Skylarking”に収録)でも感じられることですが、イギリス(”Simple Minds”の場合はスコットランド地方ですが)の夏というのは、カルフォルニアの太陽がギラギラ輝く真っ青の空とはちょっとイメージが違いますね。
どこか物悲しい切なさを感じさせる空気があります。
それにしても、前作のアルバム”Sons and Fascination”までの曲と明らかに、違う音を感じずにはいられません。
どこから、このような美しいイマジネーションが浮かんだのでしょう。
何が彼らを駆り立てたのかは定かではありませんが、歓迎すべき音の変化です。
3曲目の”Promised You a Miracle”:この曲も楽曲の著しい進歩を感じさせます。
曲の冒頭から印象的なメロディーが炸裂し、強力な存在感を意識せずにはいられません。
ときめくようなメロディーが頭の中を駆け巡ります。
間奏部分も曲全体のイメージにマッチして、一段と曲の雰囲気を盛り上げる非常に良いブリッジとなっています。
Simple Minds-Promised You a Miracle 投稿者 ghostdancer
4曲目の”Big Sleep”:これまた美しいメロディーの前奏で始まる曲です。
1曲目の”Someone Somewhere (In Summertime)”に呼応するかのような雰囲気を持っています。
“Simple Minds”独特の世界観を作り上げています。
恐らく、アメリカに進出しても、あまり受けがよくないでしょうが、無理に媚びることはないと思います。
このままで十分、美しく魅力的な曲です。
7曲目の”Glittering Prize”:次作のアルバム”Sparkle in the Rain”の足掛かりとなる曲です。
楽曲の良さは、”Someone Somewhere (In Summertime)”に負けないほどのクオリティを持ちながら、ベース・ギターやドラムのリズム系の楽器に力強さが加わっています。
次作”Sparkle in the Rain”では、本作”New Gold Dream”で自信を持ったメロディーの美しさをベースに、プロデューサーに、”Steve Lillywhite”を迎え、より力強い音に生まれ変わっています。
力強さも手に入れた”Simple Minds”は、その後のライブでは、あの甘美の”Someone Somewhere (In Summertime)”もダイナミックな曲へと変貌しています。
危なっつかしいほど美しいメロディーでも、りっぱな完成品
その後、次作のアルバム”Sparkle in the Rain”とシングル曲の”Don’t You”の成功で、アメリカ市場も席巻することになる”Simple Minds”です。
このアルバムが、「超メジャーなバンドになる前の初々しさが感じられる好感が持てる作品」などという感想を述べるつもりは毛頭ありません。
“New Gold Dream”は、”Simple Minds”にしか持ち得ない彼らの魅力が最大限に詰まっているアルバムであることを強調しておきたいです。
“Simple Minds”の世界進出における過渡期となった作品という位置づけではなく、芸術的な価値も高い、もうりっぱな完成品なのです。
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