“Pilot”の3作目のアルバムです。
前作の”Second Flight”で、数多くのポップな曲を取り揃え、楽曲の素晴らしさを十分に知らしめた”Pilot”ですが、この”Morin Heights”では、別次元の黄金ポップが展開されることになります。
演奏技術も格段に向上し、楽曲のクオリティも桁違いの進歩です。
ポップ・ミュージックの歴史的な名盤として刻まれるアルバムとなりました。
<曲目リスト>
- Hold on
- Canada
- First after Me
- Steps
- The Mover
- Penny in My Pocket
- Lies and Lies
- Running Water
- Trembling
- Maniac
- Too Many Hopes
空前の極上ポップの快進撃
1曲目の”Hold on”: 各楽器の演奏に自信がみなぎっています。
音が真っ直ぐで、力強さを感じます。
前作”Second Flight”までの、”Hand Clap”(手拍子)も封印されています。
2曲目の”Canada”: これだけの曲を引っさげてのアルバムですから、自信もみなぎってくるのも当然でしょう。
素晴らしい曲が揃った本作”Morin Heights”の中でも、一際光輝く、黄金のポップ・ソングです。
最初の出だしで、秒殺されてしまう強烈なフレーズがとても印象的です。
5曲目の”The Mover”: ここから、7曲目の”Lies and Lies”までの連続する3曲は、極上ポップ・ソングの怒涛の快進撃です。
楽曲の素晴らしさは、このアルバム内でも勿論、”Pilot”の音楽史上でも最高潮に達しています。
まず、”The Mover”ですが、前奏のギターとピアノのコンビネーションが冴えていますね。
“Mover”には、「人を動かす人」「(人の気持ちを)揺さぶる人」という意味があります。
まさに、この曲、演奏する”Pilot”には、人の気持ちを揺さぶるほどの魅力があります。
また、”Mover”には、「成功者」という意味もあり、この鮮やかなメロディーが織り成す極上の曲で、音楽界の成功への階段を駆け上げること間違いないでしょう。
6曲目の”Penny in My Pocket”: 快進撃の中核をなす曲です。
最初の数秒で決着がつくほどの、名曲の誉れ高い曲です。
「貧乏暇なし」を地で行く、”No,Money”、”No,Time”という悲壮感が漂う状況の中でも、”I’ll Give Love to Who Want It”「愛なら欲している人にあげられるんだけどね」とポジティブに生きようとする気持ちを高らかに歌っています。
この素晴らしいメロディーは、ギター・ソロのエンディングへとつながっていく、最後の最後まであじわうことができますが、相当長いギター・ソロにも関わらず、いつまでも終わって欲しくないと願いたくなるほどの心地良いフレーズです。
7曲目の”Lies and Lies”: “Penny in My Pocket”の興奮が覚めやらない中、”Lies and Lies”の飛び切りキャッチーなメロディーが飛び込んできます。
信じていた恋人に振られ、疎外感に苛まれている心境を歌った曲です。
全てのものが信じられないような人間不信に陥っている状態でしょうが、”Pilot”の楽曲の素晴らしさは本物です。
信じても良いでしょう。
8曲目の”Running Water”: 快進撃が終わったからといって、ここで一息つくわけにはいきません。
“Pilot”の音楽は、この曲で新天地を迎えます。
ポップ・ミュージックというよりは、厳かで良質の楽曲となりました。
もう、手拍子で陽気に行きましょうというわけにもいきません。
11曲目の”Too Many Hopes”: ピアノの前奏で静かな始まりをみせます。
アコースティック・ギターとピアノの絡みに続いて、サビの部分を迎えると壮大な盛り上がりをみせ、美しいボーカルの掛け合いへと展開されていきます。
いつまでも色あせない黄金のポップ・ソング
この極上のポップ・ソングが誕生したのが、1976年ということですから驚きです。
この時代の音楽が、少しも古臭さを感じることなく、今でも十分な輝きを保っていることに楽曲の素晴らしさを改めて感じます。
良い音楽を求めて、新しい曲を探すのもわくわくする体験ですが、良い音楽は探さなくてもすでにそこにあるのです。
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