“Sad Cafe”2作目のアルバムです。
アルバム・ジャケットの写真が怖いです。
アルバムの邦題も、「殺怒珈琲Ⅱ」と、「夜露死苦」を思わせる怖い雰囲気があります。
しかし、中味の曲を聴いてみると、センス溢れる上質ロックのオン・パレードです。
アルバム・ジャケットのあまりの怖さに萎縮して、食わず嫌いをすると、せっかくのご馳走を味わうことができません。
勇気を出して、”Sad Cafe”の世界に一歩踏み出してみてください。
<曲目リスト>
- Restless
- Send In The Clowns
- Run Home Girl
- Let Love Speak For Itself
- No Place To Go
- Mario
- Relax
- Feel Like Dying
- On With The Show
荒削りの音ですが、時には激しく、時には美しく
1曲目の”Restless”:重厚なギターの音で始まる緊張感のある曲です。
“Paul Young”の絞り出すような歌声に、パワーを感じるエモーショナルな曲です。
2曲目の”Send In The Clowns”:前奏のサックスの音が、何かエネルギッシュな力を秘めています。
“Paul Young”の小気味よいシャウトが曲全体の雰囲気をよりシャープなものにしています。
3曲目の”Run Home Girl”:前奏の心地良いサックスに続いて、美しいメロディが流れてきます。
この曲は、サックスの奏でる音がとてもよく効いています。
間奏のキーボードのうねるように響き渡る演奏も見事です。
楽曲の良さが曲全体に感じられます。
4曲目の”Let Love Speak For Itself”:”AOR”とは、違った大人の雰囲気が漂う曲です。
“AOR”との違いは、単に耳に心地良い音と違って、その音が味わい深いかどうかです。
8曲目の”Feel Like Dying”:”Paul Young”はシャウトすることもなく、淡々と歌うのですが、バックのピアノの音やサックスの音は、渋くて哀愁が漂っています。
9曲目の”On With The Show”:いよいよ”Sad Cafe”の”Misplaced Ideals”のショーが幕を閉じようとしています。
アルバムの最後を飾るのに相応しく”Paul Young”の迫力のある歌声が、曲の後半になると最高潮に達します。
それに呼応するかのように、ギターのソロも最大の盛り上がりをみせます。
原石が磨かれる前の美しさ
次作のアルバム”Facades”では、”10cc”の”Eric Stewart”のプロデュースにより、”Sad Cafe”の音も随分と洗練されたいきます。
しかし、同時に、少し小さくまとまってしまっているような印象を受けます。
このアルバム”Misplaced Ideals”に見られる、”Restless”や、”Send In The Clowns”は、ワイルドで激しく、”Run Home Girl”は、限りなく美しく、”Feel Like Dying”は渋くてクールなど、各曲に特徴があり、メリハリがありました。
とんがった”Sad Cafe”の音が、削り取られて丸くなってしまったような気がして残念です。
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