“Enya”の3作目ののアルバムです。
デビュー・アルバムの”Watermark”で、すでに独自の音楽的手法を確立させ、続く、”Shepherd Moons”で、不動の人気と絶大な支持を集また”Enya”です。
セカンド・アルバムの時点で、かなりの完成度を見せていますが、本作”Memory Of Trees”の収録曲の”On My Way Home”は、別次元の仕上がり具合です。
楽曲能力の向上が、”Enya”の魅力的な世界をさらに強力なものとしたアルバムです。
<曲目リスト>
- The Memory Of Trees
- Anywhere Is
- Pax Deorum
- Athair Ar Neamh
- From Where I Am
- China Roses
- Hope Has A Place
- Tea-House Moon
- Once You Had Gold
- La Sonadora
- On My Way Home
至極の楽曲品質向上の芽生え
1曲目の”The Memory Of Trees”: まずは、アルバム・タイトルを冠したインストルメンタル・ナンバーから入る、”Enya”音楽鑑賞のルーティンです。
この儀式を通じて、”Enya”ワールドに足を踏み入れる準備ができます。
いわば、ウォーミングアップのようなものです。
今回も、心の余分な角質を取り除いてから、次の”Anywhere Is”にいきましょう。
きっと、その方が、”Enya”の音が、すーっと心に浸透していくはずです。
2曲目の”Anywhere Is”: デビュー・アルバム”Watermark”のシングル曲”Orinoco Flow (Sail Away)”でも見せた”Enya”特有の軽快な曲調にあわせて韻を踏んだ歌詞が続きます。
“Knowing”-“Flowing”という単語の綴りから容易に想像できる韻から、日本の英語教育ではあまりピンとこない韻も登場します。
例えば、”The Moon upon the Ocean”-“is Swept around in Motion”、I Wonder If the Stars Sign”-“the Life that is to be Mine”などです。
“Enya”も韻を意識した歌詞を書くのですね。
4曲目の”Athair Ar Neamh”: 「天にましますわれらの父よ(主よ)」というような意味のゲール語です。
この曲が流れるだけで、いっぺんに空気が変わりますね。
2作目のアルバム”Shepherd Moons”の”Angeles”のような賛美歌を思わせる厳かな曲です。
5曲目の”From Where I Am”: “Enya”というと、幾重にも音を重ねる音楽的な技法を思い浮かべますが、こうしたシンプルなピアノの小曲もとっても魅力的です。
2作目のアルバム”Shepherd Moons”にも”Lothlorien”という名曲がありました。
6曲目の”China Roses”: 幾重にも重なる音と、ピアノの旋律が見事に調和し、”Enya”の清らかな歌声と楽曲の素晴らしさなど、”Enya”の魅力を余すところなく伝わてくる曲です。
7曲目の”Hope Has A Place”: 曲の素晴らしさは勿論、歌詞の表現に、ジーンとくるものがあります。
“Hope Has A Place in the Lover’s Heart”「希望は恋するものの胸の内に居場所がある」感慨深い言葉です。
「希望」を目的のように捉え、追い求めるような傾向がありますが、「希望」はそこに存在するもの、「希望」が主体となっている表現に鋭い感性を感じます。
8曲目の”Tea-House Moon”: 同じインストルメンタル・ナンバーなのですが、1曲目のいかにも”Enya”らしい”The Memory Of Trees”とは、趣が違います。
日本人の心に響くような、どこかしら懐かしい感じがする曲です。
11曲目の”On My Way Home”: とうとうこんなにすごい楽曲を生み出す力まで得てしまいました。
ケルト文化に根ざしたインスピレーションと独自の音楽スタイルで確固とした人気を得ていた”Enya”ですが、これに楽曲の素晴らしさが加わってしまったら向かうところ敵なしです。
もう”Enya”という音楽ジャンルを築き上げてしまいました。
至極の名盤”A Day Without Rain”へ向かう道”
このアルバム”Memory of Trees”の”On My Way Home”で、”Enya”という音楽ジャンルを築き上げ、音楽シーンに新たな金字塔を打ち立てました。
それには、従来のかなり支持された音楽的な技法に加え、優れた楽曲を作り出す能力を手に入れたことが大きな要因に挙げられるでしょう。
その力は、”Only Time”、”Wild Child”のような楽曲自体が非常に魅力的な曲を収録した”A Day Without Rain”を生み出す原動力となりました。
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