“Matt Bianco”の2作目にして、セルフ・タイトルのアルバムです。
2作目で、セルフ・タイトルというのには訳があります。
デビュー・アルバムの”Whose Side Are You on”収録後に、バンド創設メンバーの”Basia Trzetrzelewska”と”Danny White”が、バンドを去ることになりました。
残った”Mark Reilly”は、一人で”Matt Bianco”の再スタートを切ることを余儀なくされました。
そして、このセカンド・アルバムの発表です。
“Mark Reilly”は、”Matt Bianco”が健在であることを証明する必要がありました。
そこで、このタイトルです。
こちら側が、”Matt Bianco”の真の継承者(2人が脱退したのですが、名目は勿論そうですが、事実上もということなのでしょう)であることを世にアピールする必要があったのでしょう。
<曲目リスト>
- Yeh Yeh (12″ Dance Mix)
- Dancing In The Streets
- Undercover
- Fly By Night
- Smooth
- I Wonder
- Just Can’t Stand It
- Summer Song
- Sweetest Love Affair
- Up Front
新生”Matt Bianco”の順調な船出
1曲目の”Yeh Yeh”: 新生”Matt Bianco”の船出はどうでしょうか。
アルバム・ジャケットの絵画のようなデザインは、芸術的な作品が収録されていることを予感させます。
そのとおり、1曲目の”Yeh Yeh”は、幸先の良い滑り出しです。
トランペットのソロが高らかに鳴り響く頃には、新しい船出の不安は完全に払拭されたことでしょう。
“Mark Reilly”も余裕の笑を浮かべています。
2曲目の”Dancing In The Streets”: “Matt Bianco”風サンバです。
歌詞中の”Everybody’s Dancing In The Streets”と歌われているとおり、誰もが踊りだしたくなる曲です。
じっと聴いていることはもはや不可能です。
観念して踊りましょう。
3曲目の”Undercover”: 前作”Whose Side Are You on”の中で見せたセンスのある楽曲にまた出会うことができました。
ピアノの軽快な音はとっても奮っています。
“Danny White”の穴を見事に埋めています。
4曲目の”Fly By Night”: “Basia Trzetrzelewska”の代役もいるのですね。
明るい曲調には、2人を失った影は、あまりないようです。
サックスの音も憂いを帯びたものには感じられません。
7曲目の”I Just Can’t Stand It”: バック・コーラスの女性の歌いまわしが、”Basia Trzetrzelewska”を思い起こします。
過去のしがらみに囚われているのは、どうやら私の方です。
“Basia Trzetrzelewska”の歌声はそれほど素晴らしいものでした。
8曲目の”Summer Song”:夏の気だるくなるような暑さはまったく感じられません。
アルバム・ジャケットのような夜の酒場のお洒落なひと時を連想するような音です。
苦難な時期を乗り越え”Matt Bianco”の再出発
バンド創設メンバーの”Basia Trzetrzelewska”と”Danny White”の穴は決して小さくはないはずですが、この苦難の時期を”Mark Reilly”は見事に乗り切りました。
無事に、新生”Matt Bianco”の船出を迎えたようです。
“Mark Reilly”は、我々が心配するようなやわな男ではありませんでした。
この調子で、”Matt Bianco”は、次々と魅力的な曲を披露してくれるに違いありません。
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