“Basia”2作目のアルバムです。
デビュー・アルバム”Whose Side Are You on”を最後に、”Matt Bianco”から脱退した”Basia Trzetrzelewska”と”Danny White”でしたが、独立(?)後の、最初のアルバム”Time And Tide”は、かなりの出来映えでした。
バック・コーラスから、メイン・ボーカルを担うことになった前作は、期待と不安が入り混じった状態だったでしょうが、本作”London Warsaw New York”は、前作の成功で自信を深めた2人の余裕の音作りを感じます。
タイトルの”London Warsaw New York”の”Warsaw”という都市名をみると、改めて”Basia Trzetrzelewska”の祖国は「ポーランド」だったのだと思い起こされます。
<曲目リスト>
- Cruising for Bruising
- Best Friends
- Brave New Hope
- Baby You’re Mine
- Ordinary People
- Reward
- Until You Come Back to Me (That’s What I’m Gonna Do)
- Copernicus
- Not an Angel
- Take Him Back, Rachel
2人が本当にやりたかった音楽
1曲目の”Cruising for Bruising”:このアルバムのハイライトであり、”Basia”の代表曲とも言える曲です。
改めて、”Basia Trzetrzelewska”と”Danny White”がやりたかった音楽というのは、こういうものだったんだなと感じます。
この2人が抜けた後の、”Matt Bianco”と”Basia”の音は、同じジャンルに分類されるとは言え、随分と違う方向に歩み始めたと思います。
“Basia”の音は、”Matt Bianco”に比べて、泥臭いところが全くなく、お洒落で軽やかな感じがします。
“Basia Trzetrzelewska”の伸びやかな歌声が最大限活かされる音になっています。
“Danny White”の方は、”Matt Bianco”の前身である”Blue Rondo a La Turk“時代から、自分のやりたい音楽を実現するまで、かなり待たされたのだと想像されます。
3曲目の”Brave New Hope”:”Matt Bianco”では、バック・コーラスに甘んじていた”Basia Trzetrzelewska”でしたが、ようやく自らメイン・ボーカルを努め自分の歌の実力を十分に発揮できる機会を得て、”New Hope”新たな希望を抱いていることでしょう。
そんな自分の気持ちを歌った曲ではないでしょうが、歌詞中の次の部分は、そう勘ぐってしまいそうになります。
・”From Now on this is My World”「これからは、自分の世界」
・”You Set Me Free”「あなたは私を自由にしてくれる」
・”I know that God will give me one more chance”「神様は、私にもう一度チャンスをくれるでしょう」
・”Pray our dreams come true”「私たちの夢が叶うように祈ります」
4曲目の”Baby You’re Mine”:楽曲が素晴らしいです。
間奏のピアノのメロディーが美しい傑作です。
余裕や自信を感じます。
前曲の”Brave New Hope”の言葉を借りるならば、”There is No Need Worry. I’ll Find My Place in the Sun.”
「自分の居場所が輝かしいところであることは疑いの余地がない」ほどの自信です。
7曲目の”Until You Come Back to Me (That’s What I’m Gonna Do)”軽やかなリズムで、歌っている”Basia Trzetrzelewska”や、キーボードを演奏している”Danny White”も実に楽しそうです。
2人が目指している音楽にたどり着けた充足感のようなものを感じます。
8曲目の”Copernicus”:各楽器のソロ部分の見せどころ満載の曲です。
まずはトランペットのソロからです。
そして、ギターのソロです。
さらに、”Basia Trzetrzelewska”のソロ(彼女の歌声はまるで楽器のように、ピアニシモもフォルテも自由自在です)です。
ライブ演奏では、さらに映える曲です。
半分に分かれても、魅力は2倍に!
前作のソロ・デビューで、少なからぬ不安はあったと思います。
しかし、デビュー・アルバム”Time And Tide”の出来映えは素晴らしく、多くの音楽ファンに歓迎されました。
“Matt Bianco”は、半分に分かれてしまったように思えましたが、それぞれの音楽ユニットがますます魅力的な方向に進化し、音楽ファンは、それぞれの音楽を楽しむことができたことは幸いなことでした。
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