“Godley & Creme”の2作目のアルバムです。
“Lol Creme”と”Kevin Godley”の2人が”10cc”を脱退し、最初に発表したアルバム”は、”Consequences”は、3枚組の超大作でした。
続いて発表された2作目のアルバム”L”は、アルバム・タイトルもシンプルで、アルバム・ジャケットも白地に赤の文字で”L”と記してあるだけの簡素なデザインです。
アルバム・ジャケットの裏面には、”L”の文字をかたどった様々な写真やイラストが掲載されています。
アート・スクール出身の”Godley & Creme”らしい演出だと思います。
<曲目リスト>
- The Sporting Life
- Sandwiches Of You
- Art School Canteen
- Group Life
- Punchbag
- Foreign Accents
- Hit Factory/Business Is Business
芸術的なまでに音楽性を高めた作品
1曲目の”The Sporting Life”: 一曲の中で、曲調が目まぐるしく変わるという点では、ある意味”10cc”の流れをくんでいると言えるでしょう。
と言うよりは、そうした”10cc”の側面は、”Lol Creme”と”Kevin Godley”によるところが大きかったのかもしれません。
“10cc”の4人が揃った最後のアルバム”How Dare You”は、残った”Eric Stewart”と”Graham Gouldman”よりも去っていった”Lol Creme”と”Kevin Godley”の志向する音楽の方が色濃くでたアルバムではないかと思います。
2曲目の”Sandwiches Of You”: 前奏だけでも、いろんな楽器の音を盛り込んでいます。
各楽器のシンクロした演奏は、”King Crimson”の”21st Century Schizoid Man”を彷彿させます。
3曲目の”Art School Canteen”: “Canteen”とは、「学生食堂」の意味です。
“Lol Creme”と”Kevin Godley”が若き日に過ごしたアート・スクールを懐古している曲なのでしょう。
どこか懐かしさを感じるような曲です。
4曲目の”Group Life”: “10cc”のデビュー・アルバム”10cc”のあの衝撃作”Donna”も飛び出すこのアルバムの最大のハイライトの芸術的な曲です。
この曲が織り成すメロディーや重なる歌声は、脳内を心地よく刺激します。
“10cc”時代にも、これほどの音楽性の高い曲は作り上げることはなかったでしょう。
バンド離脱の理由「ギズモの開発」は、やはり表向きの理由で、本当の理由は、”Lol Creme”と”Kevin Godley”が商業的な成功よりも、自分たちの音楽をもっと追求したかったのだと思います。
5曲目の”Punchbag”: 聴く者を虜にする不思議な旋律をいくつも仕掛けています。
その罠にまんまと、はまってしまいます。
もうその罠に抗うことなどできません。
7曲目の”Hit Factory/Business Is Business”: “10cc”よりもとっつきにくさはありますが、はまってしまった場合の中毒性はかなり強烈です。
音楽だけで、これほどトリップできるのかという新鮮なん驚きを感じます。
芸術こそは我命?!
いくら、音楽性が高いといっても、限られた音楽ファンにしか受け入れられなければ、アーティストとして作品を出し続けることは難しいでしょう。
後に、”Godley & Creme”の曲は、次第にポップになっていき、親しみやすい楽曲も生まれることにはなるのですが、芸術こそは我命”Art For Art’s Sake”(アルバム”How Dare You”に収録)を生み出した彼らですから、自分たちの信じた音楽に向かってまっすぐ突き進むのもよいでしょう。
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