“OMD”5作目のアルバムです。
“Tesla Girls”、”Locomotion”の2大ヒット曲で、人気に火がついて”OMD”ですが、とりわけダンサンブルな”Locomotion”は飛び切りキャッチーなサウンドで、”OMD”は、瞬く間にエレクトリック・ポップ界の寵児となりました。
前作のアルバム”Dazzle Ships“が、実験的なエレクトリック・ポップの路線だったため、尚更そう感じます。
(とは言っても、収録中の”Telegraph“は、黄金ポップの出色のできで、”Silent Running“は格別に美しい曲でした。)
曲自体のクオリティが相当向上し、エレクトリックな手法に頼る必要が希薄になり、”OMD”独自の世界観を感じる珠玉(けして”Junk”ではない)の曲が集められました。
<曲目リスト>
- Junk Culture
- Tesla Girls
- Locomotion
- Apollo
- Never Turn Away
- Love And Violence
- Hard Day
- All Wrapped Up
- White Trash
- Talking Loud And Clear
“OMD”独自の感性が生み出した珠玉の数々
1曲目の”Junk Culture”:表題曲でありながら、インストルメンタル・ナンバーを1曲目に持ってきたのは、楽曲への自信の表れでしょう。
3作目のアルバム”Architecture & Morality“で見せた”OMD”独自の音楽性が感じさせる音です。
2曲目の”Tesla Girls”:極上エレクトリック・ポップの第一弾。
パーカションのリズムの刻み方がめちゃカッコいいです。
前奏のパーカションとキーボードの掛け合いがお見事です。
ボーカルが加わる前の、キーボードの美しい旋律がさらに、曲の盛り上がりを誘います。
3曲目の”Locomotion”:極上エレクトリック・ポップの第二弾。
“Tesla Girl”のエンディングに呼応するかのように、ウキウキするような小躍りしたくなるリズムが炸裂します。
間奏のメロディも秀逸で、エレクトリック・ポップの模範となる曲です。
4曲目の”Apollo”:”Andy McCluskey”と”Paul Humphreys”のボーカルの掛け合いとハーモニーが魅力的な曲です。
ときおり見せるギターのこ気味良い音が、良いアクセントになっています。
楽曲の向上も感じさせるメロディが素晴らしい一曲です。
5曲目の”Never Turn Away”:”Paul Humphreys”がボーカルを担当しています。
“OMD”の音楽観がより濃く浮き出ている曲です。
間奏のキーボードの音もより幻想的で、”OMD”ワールドを形成していく上で欠かせない音です。
“OMD”は、初期の頃から、エレクトリック的なサウンドは駆使しながらも、こうした独自の世界観は常に持っていました。
それが、浮き沈みの激しい音楽界で流行に流されずに長く支持された理由でしょう。
6曲目の”Love And Violence”:ベース・ギターの音が効いた”Locomotion”ほどは、はじけてはいませんが、渋さの中にも心躍るサウンドがそこにはあります。
遠くで聞こえてくる”OMD”特有の”Joan Of Arc“時代中世ヨーロッパを思わせるコーラスとも言えないかすかに響き渡る音は、”OMD”らしさを感じさせます。
7曲目の”Hard Day”:ギター風のキーボードの音から静かに始まり、”Andy McCluskey”の語りかけるような静かな歌声が続きます。
やがて、サックスの悲しげなソロが始まると”Andy McCluskey”の歌声は悲痛な叫びのように変わり、情感を強めていきます。
最後は、もとの穏やかな旋律への戻りますが、美しいメロディが根底にあるからこそ、こうした歌声の変化がいきてくるのでしょう。
8曲目の”All Wrapped Up”:南国の風を感じる爽やかな曲です。
シャカシャカというギターの音に、ブラスの音も加わり、さながら、”Haircut 100“の音です。
「エレクトリック Haircut 100」小粋な感じに仕上がりました。
このアルバムの中ではかなり異色な曲です。
10曲目の”Talking Loud And Clear”:”OMD”ならではの世界観にあふれた曲です。
心地良いリズムに、哀愁を帯びたメロディ、本当に曲のクオリティが高いですね。
やはり”OMD”にしか表現できない世界です。
初期の活動期から息づく”OMD”ワールド
一見エレクトリックな手法に頼りきっている印象がありますが、その音に耳を傾けてみると、”OMD”にしか表現できない独自の音楽観があることがわかります。
それは、ずっと初期の頃から息づいてものです。
そのため、いくら他のバンドが、エレクトリック的な手法をいくら駆使して、”OMD”のサウンドに近づこうと試みても、容易にそれはできないことでしょう。
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