Workshy(ワークシャイ)の3作目のアルバムです。
このアルバム”Heaven”発表の前に、ギター・リスト”Kevin Damien Kehoe”が、バンドを去ることになり、メンバーは、ボーカルの”Chrysta Marina Jones”とベース・ギターの”Michael John McDermatt”の2人になります。
男性2人と女性1人のトリオは、バンドとして成立しにくいのでしょうか、同じような例は、”Matt Bianco”(”Basia”)や”Thompson Twins”、”Swing Out Sister”にも見ることができます。
そして、”Swing Out Sister”との共通点は、メンバーの出身校です。
“Workshy”のメンバー”Michael John McDermatt”と、”Swing Out Sister”のメンバー”Corinne Drewery”はともに、ロンドンのセント・マーティンズ芸術学校に通っていました。
(何と、あの”Sade”のボーカリスト”Sade Adu”もこの学校の出身です。恐ろしいほどの人材の宝庫です。)
日本のレコード会社と契約してから2作目のアルバムとなる”Heaven”は、前作のアルバム”Ocean”の流れをくむ日本の音楽市場にマッチした心地よいサウンドになりました。
その音は、アルバム・ジャケットに横たわる”Chrysta Marina Jones”と”Michael John McDermatt”の表情からも読み取れると思います。
<曲目リスト>
- But Alive
- Heaven and Then
- Finding the Feeling
- Make or Break
- You Go Your Own Sweet Way
- Heaven Sent
- Love Love Love
- I’ll Never Know
- Do I Cross Your Mind
- Sweet Smell of Success
天にも昇る心地良さ
1曲目の”But Alive”: 「心地良い」。 これほどしっくりくる表現はないでしょう。
天にも昇るような極上のメロディーに、”Chrysta Marina Jones”のベルベット・ボイスが加わり、完全無敵の状態になっています。
前作のアルバム”Ocean”に収録されている”Fascinsation”のように、甘美なメロディーにいつまでも身を任せていたくなるような曲です。
トランペットの音色が、これほど穏やかで包込むような音に聴こえるのは、”Workshy”の音があまりにも心地良いせいでしょう。
2曲目の”>Heaven and Then”: レゲエ調の曲です。
“Workshy”の手にかかると、レゲエ・サウンドも、太陽のギラギラとした感覚というよりも、南国のヤシの木陰で涼しげで優雅にすごすというような雰囲気に変わります。
まるで、カーペンターズの “(They Long TO BE) Close To You”を、レゲエ・サウンドでカバーした”The Pacifists”の作品を彷彿させます。
いろいろなジャンルの音楽を、”Workshy”の世界へとさらりと昇華した好例です。
3曲目の”Finding the Feeling”: “Michael John McDermatt”がボーカルを担当する都会的なハイ・センスな曲です。
ベース・ギターの奏でるリズムが、渋くて、サビの部分のジワジワと盛り上がってくる高揚感がたまらないですね。
4曲目の”Make or Break”: “Swing Out Sister”がやりそうなクリアで、豊かな広がりをもった印象の曲です。
“Chrysta Marina Jones”のベルベット・ボイスも、この曲に関して言えば、”Corinne Drewery”のような澄み切った伸びやかな歌声に感じられます。
間奏の、洒落たピアノの雰囲気も、”Basia”の”Danny White”が弾いているかのようです。
6曲目の”Heaven Sent”: “Heaven Sent”:「天から送られてきた」=「天賦」の才能を感じます。
“Workshy”:「嫌いな仕事はしない」=「好きなことしかしない」という彼らの姿勢は、湧き上がるイマジネーションに忠実に有り続けることではないでしょうか。
それは、また、リスナーに心地良い想像力をかきたてます。
7曲目の”Love Love Love”: 軽やかな感じの曲は、”Chrysta Marina Jones”と”Michael John McDermatt”の2人のボーカルが代わる代わる絡み合いが実に心地良いです。
軽やかな印象の曲に対して、歌詞の方は、狂おしいほどの切ない恋に焦がれる恋人たちの心境を語っています。
アート・スクール出身者に見る芸術性
アート・スクール出身のミュージシャンとして、思い浮かぶのは、”10cc”の”Lol Creme”と”Kevin Godley”のコンビではないでしょうか。
彼らは、”Duran Duran”のPVの制作にも携わり、文字通りビジュアルな活動をしていますが、”Swing Out Sister”や”Workshy”のアート・スクール出身者が織りなす音楽に共通するのは、彼らの音自体がとても色彩豊かであるということです。
ビジュアル系のバンド(”Swing Out Sister”の”Corinne Drewery”自体はとても絵になる人だと思いますが。また、”Sade Adu”のライブでの妖艶さは他の追随を許さないでしょう)ということではなく、彼らが作り出す音そのものが豊かな色彩を放っています。
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