“Oasis”の5作目のアルバムです。
アルバム・ジャケットが示している通り、モノ・トーンの飾り気のないストレートなサウンドです。
ちょっと懲りすぎたきらいがあった3作目の”By Here Now”でしたが、巨人の肩腰から見た大局的な4作目の”Standing On The Shoulder Of Giants”で肩の力が抜けたような気がします。
そして、5作目の”Heathen Chemistry”で、余分な飾りを排除して、よりストレートに楽曲の魅力が伝わるような音楽へと変貌してきました。
<曲目リスト>
- The Hindu Times
- Force Of Nature
- Hung In A Bad Place
- Stop Crying Your Heart Out
- Songbird
- Little By Little
- A Quick Peep
- (Probably) All In The Mind
- She Is Love
- Born On A Different Cloud
- Better Man
また、一歩”The Beatles”に近づいた”Oasis”
1曲目の”The Hindu Times”: このあたりから、”Liam Gallagher”の歌唱方法が変わってきたように思えます。
絞り出すようにしゃがれ声を押し出すような、よりヘビーな歌声へと変わってきました。
こころなしか、後ろに手を組んだ姿勢は、さらに、重心を低い位置にもってきたような気がします。
一方で、”Noel Gallagher”が繰り出すギターの音色は、非常にクリアです。
“The Hindu Times”という「ヒンズー教」や「インド」を思わせるタイトル通り、東洋的な音を響かせています。
4曲目の”Stop Crying Your Heart Out”: 名曲の香りがぷんぷんする堂々のロック・ミュージックです。
荘厳なピアノの伴奏に続き、”Liam Gallagher”が、語るように歌いだします。
そこには、一切の装飾的な音はありません。
名曲には、飾り立てる音など、必要のないほどの存在感があります。
“Oasis”の新たな代表曲になり得る、貫禄十分の曲です。
5曲目の”Songbird”: ついにここまで来た、アコースティック・ギターを弾き語り”Liam Gallagher”。
現代の”John Lennon”の誕生です。
ハーモニカも入ったデモ・バージョンも、アルバム・バージョンとはまた違った魅力があります。
ギターもアコースティックではなく、プラグ・インされています。
このバージョンでも結構いけるのではないでしょうか。
6曲目の”Little By Little”: 今度は、”Noel Gallagher”の弾き語りです。
“Noel Gallagher”の歌唱法は、堅実で、初期の頃から変わるところがないようです。
まさに、”Little By Littele”「少しずつ」といった感じでしょう。
“Oasis”ファンの中には、”Noel Gallagher”のボーカルや、彼が歌っている曲が好きという根強いファンが結構いるのではないでしょうか。
10曲目の”Born On A Different Cloud”: この曲を聴いて、”John Lennon”とりわけソロ活動後の彼を思い起こす人が多いことでしょう。
哀愁を帯びたギターの音色を聴いていると、”John Lennon”の曲がもっとも成熟していた頃、”Walls and Bridges”(邦題:「心の壁、愛の橋」)の時代の音を感じさせます。
ロック・ミュージックの王道を歩み始めた”Oasis”
“Oasis”の音が、”The Beatles”の域に到達しようとしているアルバムが、この”Heathen Chemistry”ではないでしょうか。
初期の時代から、”(What’s The Story) Morning Glory?”で、珠玉のロック作品を量産していましたが、このアルバムの作品には凄みがあります。
アルバム・ジャケットのように、シンプルなモノ・トーンで十分です。
いろいろ飾り立てる必要がないほど、ロック・ミュージックの王道を歩み始めた”Oasis”です。
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