“Swing Out Sister”の3作目のアルバムです。
デビュー・アルバム”Its Better to Travel”収録曲の”Breakout”で、まさにブレイクし、あまりの衝撃的なデビューで、やがて彗星のように消え去ってしまうのではないかという危惧がありましたが、続く、”Kaleidoscope World”で上質な曲を提供してくれたのでその心配は杞憂に終わりました。
本作の”Get in Touch With Yourself”では、”Kaleidoscope World”の流れをくむ洗練された曲をまた供給してくれました。
でも、それで十分です。
“Kaleidoscope World”は、それほど上質なサウンドで、”Swing Out Sister”これからも大人のリスナーを満足させてくれる曲を安定して供給してくれると確信したからです。
<曲目リスト>
- Get In Touch With Yourself
- Notgonnachange
- Am I The Same Girl
- Everyday Crime
- Who Let The Love Out
- I Can Hear You But I Can’t See You
- Understand
- Circulate
- Love Child
- Incomplete Without You
- Don’t Say The Word
- Everyday Crime
前作”Kaleidoscope World”の踏襲で結構!
2曲目の”Notgonnachange”: デビュー・アルバムの収録曲の”Twilight World”の前奏を思わせる出だしで、曲調は、セカンド・アルバムの”Kaleidoscope World”の世界を踏襲するような音です。
“Kaleidoscope World”の世界の踏襲は、大歓迎です。
“Kaleidoscope World”は、予想を良い意味で裏切る作品でした。
センセーショナルなデビュー・アルバムの後に、これほど上質なサウンドを作り上げてくることをまったく想像できなかったからです。
ただ、このアルバム”Get in Touch With Yourself”は、”Kaleidoscope World”の単なる焼き直しではありません。
“Swing Out Sister”の新たな可能性に向けて確実に進歩している作品です。
そのことは、このアルバムの曲を聴いた人が一番実感していることでしょう。
3曲目の”Am I The Same Girl”: 1968年に最初に”Barbara Acklin”が歌い、”Swing Out Sister”がリメイクしたものです。
それほど、原曲からはアレンジされていないにも関わらず、”Corinne Drewery”のボーカルで、すっかりファッショナブルで、生き生きとした曲に蘇えっています。
しかし、1968年の作品にしては恐ろしく洗練された曲ですね。
勿論、”Wao”とも”Gyou”ともつかないかわいらしい叫び声は、”Swing Out Sister”オリジナルのものです。
歌詞中の”Am I the same girl you used to know?”「私は、かってあなとの知っている女の子」なんて聞かれたらドキッとしますね。
4曲目の”Everyday Crime”: “Kaleidoscope World”からの進歩です。
流行りの音楽からの脱却が、”Its Better to Travel”から”Kaleidoscope World”への進化だとしたら、
“Kaleidoscope World”から、”Get in Touch With Yourself”への進化は、ポップ・ミュージックからへの上質な音楽への昇華です。
10曲目の”Incomplete Without You”: 音楽のセンスは、勿論、”Swing Out Sister”の音楽に対する真摯な姿勢が伺えます。
幅広い音楽ファンから支持される理由の一つではないでしょうか。
その対価として、音楽ファンは、”Swing Out Sister”から上質な音楽を受け取れるのです。
11曲目の”Don’t Say The Word”: 軽快なリズムに、”Corinne Drewery”の伸びやかな歌声が実に心地良いです。
“Swing Out Sister”ファンが何を求めているのかよくわかっているのですね。
楽曲も魅力的で向かうところ敵なしです。
視界良好です。
曲調も、澄み切った青空が広がるようなそんな爽快感があります。
安心して聴けるこの時期ならではの”Swing Out Sister”
本作”Get in Touch With Yourself”は、前作の”Kaleidoscope World”の世界を踏襲した音でしたが、次作もこの路線で、いや、しばらくこの路線で何枚もアルバムを出し続けてほしいと思いました。
それぐらい、この頃の”Swing Out Sister”は、上質で、心地良い音楽です。
以降のアルバムが、だんだんジャズに傾倒しはじめ、そのうちジャズそのものになってしまうんじゃないかとやきもきする心配もなく、安心して聴けるのがこの時期の”Swing Out Sister”だからです。
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