“Roxy Music”7作目のアルバムです。
このアルバムから、”Roxy Music”の音ががらりと変わります。
前衛的なサウンドは影を潜め、多くの音楽ファンに歓迎される親しみやすい曲調へと変化してきました。
<曲目リスト>
- In The Midnight Hour
- Oh Yeah!
- Same Old Scene
- Flesh And Blood
- My Only Love
- Over You
- Eight Miles High
- Rain, Rain, Rain
- No Strange Delight
- Running Wild
もともとあった才能をわかりやすく表現してみました
1曲目の”In The Midnight Hour”:各楽器のパート同士が、お互いの持ち味を尊重しながら調和のとれた演奏をしています。
一見当たり前のことですが、本作のつい2~3作前の作品、”Country Life”や”Siren”では、各楽器の個性が強すぎて、それが曲の調和よりも優先されていました。
“Roxy Music”も、その辺の「さじ加減」が良くわかってきたのだと思います。
もともと楽曲を作り上げる力は十分にありました。
この”Flesh and Blood”では、それを効果的に表現する方法を身につけたのだと思います。
2曲目の”Oh Yeah!”:効果的な表現方法を手に入れて、この楽曲の素晴らしさが加われば「鬼に金棒」、「水を得た魚」状態です。
向かうところ敵なしです。
新たなファン層を獲得するのも頷けます。
3曲目の”Same Old Scene”:メロディーが秀逸です。今年の流行語大賞の言葉を借りるのなら「神って」ます。
ロックの神が降臨したのかと思わせるほどの出色の出来です。
昔からの”Roxy Music”ファンは、「こんなにいい曲を作らなくても・・・」と思ったほどです。(私ぐらいでしょうか?)
5曲目の”My Only Love”:「楽器の演奏うまくなっているんじゃない」って感じました。
「楽器の音も良くなっているような」気がしました。
“Country Life”の頃の演奏の方が、技工的な演奏をしていてすごいなと思いましたが、曲全体のイメージを壊さない(個々の楽器の音をあまり強調しすぎない)淡々とした演奏に演奏技術の進歩を感じました。
楽曲の良さも勿論あっての話ですが。
6曲めの”Over You”:楽器の使い方がうまいですね。
楽器の音の特徴をよく活かした使い方をしています。
このメロディーは、この楽器が奏でるとより美しい響きになるというのが良く考えて作られています。
そのため、曲の魅力が一段とアップしています。
各楽器の演奏も、そんなに気負わなくても十分その楽器の魅力が聴衆に伝わることを理解しているようにも思えます。
7曲目の”Eight Miles High”:演奏技術の向上は、明らかに本物です。
ギターが、ベースが、サックスが、どれもが進歩しています。
個々の楽器は、技工的な表現はほとんどとっていませんが、曲全体の仕上がりはぐっと良くなり、各楽器は誇示することもなく、その存在は自然と浮き出てくるものなのです。
大衆が迎合?
このアルバム”Flesh and Blood”で、”Roxy Music”のファン層は、大きく拡大したものと思われます。v
これは、”Roxy Music”が人気集めのために大衆迎合したとは思いたくないです。
むしろ、大衆が、”Roxy Music”の音楽に迎合していると思いたいです。
“Roxy Music”は、今までも持っていた魅力を、ちょっとばかりわかりやすい表現にして伝えただけのことです。
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