Sad Cafe(サッド・カフェ)の3作目のアルバムです。
“10cc”の”Eric Stewart”がプロデュースを手掛け、”Sad Cafe”を一躍人気バンドに仕立て上げたアルバムです。
前作までは、際立ったメロディーの素晴らしさと、”Paul Young”の力強いボーカルが”Sad Cafe”の魅力をストレートに表現されていました。
本作の”Facades”では、邦題のタイトル「虚飾の扉」とあるように、ストレートな表現から、凝った技法、洗練された味付けが随所に感じられるアルバムとなりました。
<曲目リスト>
- Take Me To The Future
- Nothing Left Toulouse
- Every Day Hurts
- Strange Little Girl
- Crazy Oyster
- Emptiness
- Cottage Love
- Angel
- Get Me Outta Here
- My Oh My
- Time Is So Hard To Find
“10cc”色に染まる”Sad Cafe”
1曲目の”Take Me To The Future”: 明らかに、前2作のアルバム”Fanx Ta-Ra”、”Misplaced Ideals”とは、異なる音です。
“Eric Stewart”がプロデュースしたこともあって、曲全体が凝った音作りになっています。
キー・ボードの起用方法も当時としては斬新で、プログレッシブ・ロックやエレックトリック・ポップの融合のような音を醸し出しています。
2曲目の”Nothing left, Toulouse”: “Paul Young”のボーカルは、相変わらず巧みで力強さも持ち合わせていますが、間奏のバイオリンや、ギターの使い方などは、とても洗練されてきて、前作の”Mispalaced Ideals”収録の”Restless”や、”Send In The Clowns”の荒々しい曲調とは、随分様子が変わってきています。
3曲目の”Every Day Hurts”: “Paul Young”が、しっとりと歌い始める曲の前半部分を聴いて見ると、パワフルなボーカルだけが持ち味ではないことがよくわかります。
相当な歌唱力の持ち主です。
曲のサビの部分でコーラスが加わりますが、美しいハーモニーが新たな”Sad Cafe”の魅了が伝わってきます。
4曲目の”Strange Little Girl”: 強烈なベース・ギターの音が印象的な曲です。
この曲ほど、プロデユーサーの”Eric Stewart”の影響が色濃くでた曲はないでしょう。
バック・ボーカルの低音の掛け声はまさに、”10cc”です。
“10cc”の”Bloody Tourist”や”Look Hear”の音楽的技法が随所に感じられ、ニヤッとした”10cc”ファンも多いでしょう。
6曲目の”Emptiness”: 前作までのストレートで力強い”Sad Cafe”の曲調が、再び聴ける曲です。
映像は、アルバム発表当時からだいぶ経過した最近のものですが、ギターの音などは当時のものよりパワー・アップしているように思えます。
10曲目の”My Oh My”: 前半部分は、美しいメロディーが展開されますが、その中にも激しいリズムが炸裂しそうな気配を感じます。
そして、いよいよその時が来ると、その盛り上がりは最高潮に達します。
もう少し聴いてみたかった初期のサウンド
プロデューサーに、”10cc”の”Eric Stewart”を迎え、洗練された音に生まれ変わった”Sad Cafe”ですが、前作までの彼らの音も荒削りではありましたが、相当魅力的な音楽を展開していました。
“Eric Stewart”の音作りも多少懲りすぎている面もあり、”10cc”の味付けがちょっと濃いように思えるところはありましたが、”Sad Cafe”の魅力の一つである美しいメロディーと、”Paul Young”の卓越した力強い歌声はまだ十分残っています。
これが、次作の”Sad Cafe(セルフ・タイトル)”や”Ole”では、スタイリッシュなアルバム・ジャケットを見てもわかるように、その音楽もあまりに洗練されて、デビュー当時の際立った個性は影を薄めてきています。
(その代わり、”L.A.”など極めて美しく優れた楽曲もあります)
もう少し、初期2作の勢いのある”Sad Cafe”をもう少し見てみたかった気もします。
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