“Bangles”の3作目のアルバムであり、最後のアルバムです。
(1989年に解散、1999年に再結成)
大ヒット曲の”Eternal Flame”は、あまりに有名で、洋楽のスタンダード・ナンバーにも挙げられる名曲です。
この曲以外にも、各メンバーが作曲に携わり、作曲者自身がリード・ボーカルも担当しています。
楽曲も、演奏技術も素晴らしいですが、シンガーとしての彼女たちの魅力も十分伝わってきます。
<曲目リスト>
- In Your Room
- Complicated Girl
- Bell Jar
- Something To Believe In
- Eternal Flame
- Be With You
- Glitter Years
- I’ll Set You Free
- Watching The Sky
- Some Dreams Come True
- Make A Play For Her Now
- Waiting For You
- Crash And Burn
マルチ・ライター!マルチ・シンガー!
1曲目の”In Your Room”: 楽曲のできは、勿論素晴らしいものがありますが、メイン・ボーカルの”Susanna Hoffs”とバック・コーラスの歌声は実に魅力的です。
それは、偉大なる名曲”Eternal Flame”にも言えることですが、ちょっと鼻にかかった小悪魔的な”Susanna Hoffs”の歌声と、他のメンバーの大人の女性らしい優しく包み込むような心地良い歌声の対比が実に見事です。
ギターの演奏技術も本物で、楽曲の素晴らしさをより価値あるものにしています。
3曲目の”Bell Jar”: ギター担当の”Vicki Peterson”(姉)とドラム担当の”Debbi Peterson”(妹)の”Peterson”姉妹の共作です。
“Bangles”の他のどの曲よりも、ギターのサウンドがヘビーな作品です。
ちなみに、”Debbi Peterson”の”Debbi”は愛称で、本名は、”Deborah Mary Peterson”で、”Blondie”の紅一点のボーカリスト、”Deborah Ann Harry”(通称、”Debbie Harry”)と同じ名前です。
(姓の方の”Peterson”は、”Peter”「ピーター」の”son”「息子」という意味です)
5曲目の”Eternal Flame”: 多くを語る必要もないほどの名曲です。
名曲に共通するように、曲の前半部分は特に、何の飾りもないぐらいのシンプルな音です。
なぜか、名曲というのは、余分なものが排除されて恐ろしいほどシンプルですが、だからこそ、そのテーマはより強く浮き出ているようにおもえます。
この”Eternal Flame”もそのような1曲です。
前半部分は、”Susanna Hoffs”が、彼女特有の歌声で、歌い上げるのですが、「ああ、この曲にぴったりの歌声だな」と感じます。
しかし、後半部分は、音も厚みを増して、他のメンバーが主旋律を歌い、”Susanna Hoffs”が、かぶせるように歌声を添えます。
すると、また、「ああ、この曲はこうして重ね合わせて歌うと、とても魅力的だな」と改めて感じます。
楽曲の魅力と、”Bangles”のメンバーの歌唱力がなせる業なのでしょう。
6曲目の”Be With You”: ドラム担当の”Debbi Peterson”がリード・ボーカルを務めます。
また、”Debbi Peterson”が作曲に携わっています。(共作)
同様に、10曲目の”Some Dreams Come True”も、彼女の作品で、ボーカルも担当しています。
基本的に、曲を作ったメンバーが、リード・ボーカルを担当していますが、各メンバーが、ライターとしても、シンガーとしても実力者揃いです。
8曲目の”I’ll Set You Free”: 再び、”Susanna Hoffs”がボーカルを担当していますが、”I’ll Set You Free”「あなたを自由にしてあげる」という意味の曲のせいか、いつもの鼻にかかった甘ったるい歌声は影を潜めているように思えます。
歌詞中の、”Like Coins into a Wishing Well”の”Wishing Well”は、コインを投げ込むと願い事がかなうといわれている井戸のことです。
でも、その願い事は、かなわなかったようです。
恋人との別れを歌った切ない曲です。
解散とは、結束が解けること
“Bangles”の作品は、それぞれの曲の作曲者が、自身の曲のリード・ボーカルを担当するというスタイルをとっています。
ですので、誰が歌っているかで、おおよそ、誰の作品か見当がつきます。
しかし、誰の作品でも、”Bangles”の音に仕上がっています。
それぞれが独創的な個性を持っていながら、各々のメンバーの意見を尊重しながら、結束してバンドの音に仕立て上げています。
1999年に、バンドは一旦解散しますが、「解散」を英語で表現すると、”disband”です。
“band”「結束」していたものが、”dis”「解ける(否定の意の接頭語)」とは、良く言ったものです。
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