“XTC”の3作目のアルバムです。
1、2作目のアルバムが、パンクやニュー・ウェーブのジャンルに分類されていた”XTC”でしたが、この”Drums & Wires”の前衛的なロックは、彼らの音楽の分岐点になったことでしょう。
前衛的でありながら、彼らのポップ・センスが所々に垣間見ることができます。
次作のアルバム”Black Sea”の黄金ロックの萌芽が見られるアルバムです。
3作目にして、彼らの演奏技術は、かなりの水準に達し、その音作りも今後の”XTC”の基盤をすでに確立しています。
<曲目リスト>
- Making Plans For Nigel
- Helicopter
- Day In Day Out
- When You’re Near Me I Have Difficulty
- Ten Feet Tall
- Roads Girdle The Globe
- Reel By Reel
- Millions
- That Is The Way
- Outside World
- Scissor Man
- Complicated Game
- Life Begins At The Hop
- Chain Of Command
- Limelight
ポップな感覚を秘めながらも前衛的なサウンド
1曲目の”Making Plans For Nigel”: “Colin Moulding”が、ボーカルを務める曲で、前作までのパンキッシュな音を引きずりながら、完全にはポップになりきれない危うさを残しつつも、メンバーの演奏は弾けています。/br>
2曲目の”Helicopter”: “Andy Partridge”にボーカルが替わります。
“Drums & Wires”のタイトル通り、ドラムとベース・ギターのうねりが良く絡んでいます。
3作目のアルバムにして、相当程度の技術に達していると思います。
3曲目の”Day In Day Out”: 一見滑らかなベース・ギターの踊るようなリズムも、良く聴くとかなり不規則なリズムを時折刻んでいます。
それに呼応するかのように、ギターも奇妙なフレーズを奏でています。
それでも、曲としてのまとまりを持たせているところが、”XTC”の一筋縄ではいかない才能でしょう。
勿論、相当程度の演奏技術がなければ成り立たないことです。
5曲目の”Ten Feet Tall”: ポップでキャッチーな曲が好みの人には、難解な曲が続きましたが、メロディー・ラインが際立った曲の登場です。
2種類のギター・ソロは、それぞれに魅力的で、ギターの腕に覚えのある人は挑戦したくなるフレーズだと思います。
7曲目の”Reel By Reel”: ライブでもよく披露されるギター・サウンド炸裂の一曲です。
前奏直後のギターのフレーズがとても印象的です。
10曲目の”Outside World”: こちらもギターのフレーズが特徴的な躍動的な曲です。
“Remastered”版の”XTC”の各アルバムを揃えてみましたが、このアルバム”Drums & Wires”の音がもっとも切れ味するどく浮き上がってきたように感じます。
13曲目の”Life Begins At The Hop”: 再び、ボーカルは、”Colin Moulding”で、多くの洋楽ファン納得の一曲ではないでしょうか。
ノリの良いこの曲は、ドライブのお伴にもってこいではないでしょうか。
“Andy Partridge” のエフェクトを効かせたギター・ソロもイカしています。
かなりのレベルに到達した演奏技術
“XTC”特有の難解で屈折した調子の曲も多いアルバムですが、演奏技術はかなりの水準に達していて、後期の”XTC”と比べても遜色のないものです。
一風変わった曲でも、楽器の音は鮮明で、演奏の稚拙さで聞きづらいということは全くありません。
次作の”Black Sea”では、黄金ロックとも言えるような秀逸な曲がいくつもありますが、その片鱗を伺えるようなメロディーが、この”Drums & Wires”でも随所に聴くことができます。
とは言っても、色々な技巧が込められた”Drums & Wires”の解釈は、私自身も未だ、道半ばと言ったところです。
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