“City Boy”の2作目のアルバムです。
デビュー・アルバムのセルフ・タイトル”City Boy”で彼らの類まれなるポップ・センスを十分見せつけてくれました。
そのポップ・センスを活かして、音楽的な価値を芸術の域まで高めたのが本作”Dinner at the Ritz”です。
アルバムを一枚通して聴くと、繊細で洗練されたフルコース料理を味わったような気分となるでしょう。
ようこそ、リッツのディナーへ!
<曲目リスト>
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- Momma’s Boy
- Walk On the Water
- Narcissus
- Dinner At the Ritz
- Goodbye Blue Monday
- The Violin
- State Secrets – a Thriller
・State Secrets
・Heavy Breathing
・Spring in Peking
ロック・ミュージックのフル・コース料理
1曲目の”Momma’s Boy”: 本日の”Amuse Bouche”(アミューズ)です。
まずは、心地良いギターの音色でおもてなしです。
アミューズにしては、ちょっと重すぎるかもしれません。
2曲目の”Walk On the Water”: 続いて、”Hors D’oeuvre”(オードブル)です。
“City Boy”のメンバーが、しきりに”Why Don’t You”と何かをすすめてきます。
パーカッションの乾いた音が時折かき鳴らされていて、小気味良いスパイスとなっています。
4曲目の”Dinner At the Ritz”: お待たせしました。
“Les Poisson”(ポワソン)(ポイズンではありません)は、表題曲の”Dinner At the Ritz”です。
一口目は、「キャンディ・キャンディ」を思わせる甘美のピアノの旋律が口いっぱいに広がります。
やがて、ギターのソロが加わると躍動感が広がり、高揚した気分に包まれます。
そして、サックスのメロディーが漂うと、満足感にひたりながら、この一品に余韻に酔いしれるのです。
6曲目の”The Violin”: メイン・ディッシュの”Les Viandes”(ヴィアンド)は、極上の素材を活かした”Violin”です。
シェフの腕前の見せ所です。
バイオリンのソロの部分は、とりわけ美味しい部位ですね。
メイン・ボーカルと付け合せのバック・ボーカルのハーモニーは絶妙で、バイオリンの絶品ソースで最高のひと皿になっています。
最後に、もう一度バイオリンのソロがあります。
皿に残った極上ソースをパンに付けてもう一度所望したい気分に駆られます。
7曲目の”State Secrets – a Thriller”: 3種類の”Les dessert”(デセール)が用意されています。
組曲1曲目の”State Secrets”: ベース・ギターがブンブンうなっています。重すぎます。
やがて、軽快なマーチに曲調が変わると、次はピアノの伴奏が始まり、組曲の1曲の中にも、また何曲かはいっているような”Petit fours”(プティ・フール)のオンパレードです。
最後は、エスプレッソ・コーヒーのように苦味が効いたギターのソロで締めくくりです。
ディナーの後の余韻を楽しむ
リッツでのフル・コースはいかがでしたか?
こうしたドラマ仕立ての曲や組曲を作るのには、頭に描いたイメージを曲として表現する確かな演奏技術が必要でしょう。
“City Boy”には、音楽によって、彼らの世界を作り上げる創造力と表現力が十分にあります。
あとは、我々が音楽から彼らの音楽観を感じ取る想像力だけがあればより良く楽しむことができるでしょう。
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