“Spandau Ballet”2作目のアルバムです。
前作のアルバム”Journeys to Glory”の”To Cut a Long Story Short”や、”Musclebound”のようなファンク色豊かな曲調を引き継ぎながら、次作以降の”True”に繋がるメロディーの美しい曲へとの橋渡しをするかのようなアルバムです。
ファンク調の踊りたくなるような軽快なリズムと美しいメロディーの両方が楽しめる内容となっています。
“Spandau Ballet”の音の変遷を、このアルバムで探ってみるのもひとつの楽しみ方だと思います。
<曲目リスト>
- Chant No 1 (I Don’t Need This Pressure On)
- Instinction
- Paint Me Down
- Coffee Club
- She Loved Like Diamond
- Pharaoh
- Innocence And Science
- Missionary
ファンキーなリズムから、恋するメロディーへ
1曲目の”Chant No 1″:次作以降のアルバムでは、ほとんど聴かれなくなったファンク色の強い曲です。
この頃の”Spandau Ballet”のブラスは、サックスよりもトランペットの方が多く用いられていたようです。
次作以降では、なかなかお目にかからないトランペットのソロなんかもあります。
メロディーよりもリズム重視というこの時代の”Spandau Ballet”の音を感じさせます。
2曲目の”Instinction”:このアルバムで最もキャッチーな曲で、後のアルバム、”True”や”Parade”に繋がるメロディー・ラインの美しさを持っています。
しかし、やはり、リズム重視の傾向は変わらず、時折、重厚なドラムの音が聞こえてきます。
サックスの奏者の”Steve Norman”までもがドラムを担当し、2人のドラマーの競演となっています。
3曲目の”Paint Me Down”:重々しいベース・ギターの音で始まるこの曲は、終始独特のパーカションが支配するファンク色の強い曲調です。
次作”True”や”Parade”では、このような音は段々と影を潜めてきています。
そういう意味では、”Spandau Ballet”の最後のファンク調のアルバムです。
4曲目の”Coffee Club”:さらに、ファンク色を深めています。
“XTC”の”Living Through Another Cuba”(アルバム”Black Sea”に収録)に近い音を感じます。
ラテン系のファンクでしょうか。(一時、ファンクとラテンを融合したような音楽「ファンカラティーナ」というのが流行ったことがありましたね)
5曲目の”She Loved Like Diamond”: まるでオペラのような”Tony Hadley”の歌声は、次作のアルバム”True”の表題曲でもあり、”Spandau Ballet”の代表曲でもある”True”誕生を予感させます。
軽やかに刻むパーカションのリズムは、”Gold”(アルバム”True”に収録)を彷彿させます。
次作のアルバム”True”への橋渡しになるような曲です。
変貌自在の歌声を披露 ”Tony Hadley”
このアルバムで、”Spandau Ballet”の音は、まだまだ、ファンク色が強いですね。
“True”や”Parade”で見せた恋するような甘美の曲とは、随分と距離がある気がします。
それでも、曲の随所に、”True”の美しいメロディーや”Gold”の軽快なリズムが見え隠れしています。
“True”や”Parade”の曲が、少し甘ったるいという辛口の音楽ファンには、ファンク色の濃い”Diamond”の方が口に、いや耳に合うのかも知れません。
しかし、見事なのは、”Tony Hadley”のボーカルです。
このアルバムまでは、ファンク調のリズム重視の曲を歌い上げ、次作の”True”以降は、夢見るような美しい曲を熱唱するという変幻自在の活躍ぶりです。
確固とした歌唱力のなせる業です。
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