【洋楽】おすすめのアルバム”Dazzle Ships” : “OMD”

洋楽アルバム紹介

“OMD”の4作目のアルバムです。

“OMD”の作品中、もっともエレクトリック・ポップと感じさせると同時に、もっとも実験的なアルバムではないでしょうか。

プログレッシブ・エレクトリック・ロックと呼べそうな試みです。

実験的な音楽の試みの中でも、”Telegraph”は傑出したエレクトリック・ポップの大発明です。

<曲目リスト>

  1. Radio Prague
  2. Genetic Engineering
  3. ABC Auto-Industry
  4. Telegraph
  5. This Is Helena
  6. International
  7. Dazzle Ships (Parts II, III & VII)
  8. The Romance Of The Telescope
  9. Silent Running
  10. Radio Waves
  11. Time Zones
  12. Of All The Things We’ve Made

プログレッシブ・エレクトリック・ロック?

1曲目の”Radio Prague”: “Radio Prague”は、実在する「プラハ」(チェコ共和国の首都)のラジオ放送局です。

英語をはじめとし、フランス語、ドイツ語、スペイン語、チェコ語、ロシア語の6カ国語の言葉で(スロバキア語はないのですね)放映されています。

ナレーションの言葉はどうやら英語ではなさそうです。

2曲目の”Genetic Engineering”の前奏のような印象があります。

2曲目の”Genetic Engineering”: “Genetic Engineering”:「遺伝子工学」。

最新のトピックを随分前にテーマにしたものです。

しかし、当時のコンピュータ技術で、研究していたら大変な労力を要することでしょう。
“Pink Floyd”が、エレクトリック・ポップに目覚めたら作りそうな曲です。

曲の冒頭のタイプライターの音は、”Pink Floyd”の代表曲の”Money”を彷彿させます。

曲の仕上がり具合は、”Telegraph”にも通じる軽快なエレクトリック・ポップです。

3曲目の”ABC Auto-Industry”: “Genetic Engineering”と”Telegraph”のポップ・ソングをつなぐブリッジとなる曲です。

しかし、あまりにも前衛的すぎます。

この曲のライブ・パフォーマンスがあることが驚きです。

聴衆は、どこの部分に共感しているのでしょうか。

前衛的でありながら、前近代的な演出が妙なアンバランスを感じます。

4曲目の”Telegraph”: このアルバムでは、一際、存在感がある曲です。

と言うよりも、この曲がなかったら商業的に成り立たないアルバムではないでしょうか。

楽曲の素晴らしさもさることながら、”Andy McCluskey” と “Paul Humphreys”の2人のボーカルの掛け合いがいいですね。

特に、”Paul Humphreys”のcoolで、エモーショナルな歌声(一見相反する表現に思えますが)が絶妙です。

5曲目の”This Is Helena”: “OMD”の実験的な試みに段々と慣れてきた気がします。

これがないとアルバムに物足りなさを感じてくるから不思議です。

曲間を”Intermission”という小曲でつなぐ手法です。

“Blur”が、アルバム”Modern Life is Rubbish”で、この手法を用いてました。

8曲目の”The Romance Of The Telescope”: エレクトリック・ポップというジャンルに関係なく、”OMD”の音楽に深く根ざしているサウンドです。

これは、前作の”Architecture And Morality”にも、はっきりと現れていました。

9曲目の”Silent Running”: 前曲の”The Romance Of The Telescope”のエンディングの余韻をそのまま引き継いで、美しい旋律が続きます。

美しいメロディーは、”New Order”の”Your Silent Face”に通じるものがあります。

奇しくも、”Silent”という言葉がどちらの曲にも共通で使われていますが、エレクトリック・ポップという一つのムーブメントが去った後でも、存在感を持ち続ける楽曲の魅力が両者にも共通するところだと思います。

10曲目の”Radio Waves”: ポップとは言い難いエレクトリックなサウンドからスタートします。

再び、”Andy McCluskey” と “Paul Humphreys”の掛け合いが聴けますが、今度は、”Paul Humphreys”が主のパートを歌います。

12曲目の”Of All The Things We’ve Made”: 木魚のような単調なリズムに、無機質なキーボードの音が重なり、それに呼応するように”Andy McCluskey”が淡々と歌います。

ギターの余韻だけが、最後に残ります。

この実験結果が、次作の”Junk Culture”で結実するのですが、どういう化学反応が起きたのか定かではありません。

迷彩カモフラージュで隠していたものはなに?

十分に実験的すぎる本作”Dazzle Ships”ですが、この後、エレクトリック・ポップ大爆発の”Junk Culture”がリリースされるとは誰もが想像できなかったことでしょう。

しかし、大いなる野望(大いなる実験結果)を”Dazzle Paint”(“Duzzle Camouflage”)「艦船に用いられた迷彩塗装」の下に潜ませていたのではないでしょうか。

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