“Gloria Estefan”の4作目のアルバムです。
(正確には、”Gloria Estefan & Miami Sound Machine”の作品です。)
“Gloria Estefan & Miami Sound Machine”と言えば、ラテン系の激しいリズムを思い起こしますが、前作のアルバム”Let It Loose”では、”Anything For You”のような、しっとりとした楽曲に、伸びやかな歌声をじっくり披露してくれる曲もありました。
本作”Cuts Both Ways”にも、そんな”Gloria Estefan”の卓越した歌唱力をじっくり味わえる曲が何曲かあります。
勿論、”Gloria Estefan & Miami Sound Machine”の持ち味であるラテン系のリズムも健在です。
<曲目リスト>
- Ay, Ay, I
- Here We Are
- Say
- Think About You Know
- Nothin’ New
- Oye Mi Canto (Hear My Voice)
- Don’t Wanna Lose You
- Get On Your Feet
- Your Love Is Bad For Me
- Cuts Both Ways
- Oye Mi Canto
- Si Voy A Perderte*
あなたのためなら何でも! ラテンのリズムもバラードも!
2曲目の”Here We Are”: 曲のタイトルは、直訳すると「私たちはここにいます。」ですが、慣用句で「さあ、着いたよ」という意味になります。
前作のアルバム”Let It Loose”の”Anything For You”のような、しっとりとした味わい深い曲です。
3曲目の”Say”: 軽快なリズムではありますが、典型的なラテンのリズムとはちょっと違います。
ラテンのフレーバーを漂わせながらも、軽やかなポップな曲調に、”Gloria Estefan”の伸びやかでクリアな歌声がよくマッチしています。
4曲目の”Think About You Know”: 軽快な曲と、しっとり系の曲とが、バランスよく配置されています。
もともと、ラテン系のアップ・テンポの曲が多かった”Gloria Estefan”ですが、彼女の伸びやかな歌声がより発揮できるのは、こうしたじっくり聴かせる曲の方ではないかと思います。
6曲目の”Oye Mi Canto (Hear My Voice)”: ラテンのリズム、スパニッシュ・ギターやコンガなど使われている楽器やピアノの演奏方法など、もっとも、”Gloria Estefan & Miami Sound Machine”らしい曲と言えるのではないでしょうか。
間奏のトランペットの音も、まさにラテン・ミュージックそのものです。
7曲目の”Don’t Wanna Lose You”: “Oye Mi Canto (Hear My Voice)”が従来の”Gloria Estefan”の従来のスタンダードであるならば、この”Don’t Wanna Lose You”は、”Gloria Estefan”にとっての新しいスタンダードになるのではないでしょうか。
楽曲の良さと、”Gloria Estefan”の歌唱力が活かされるように、楽器の編成もいたってシンプルな内容になっています。
8曲目の”Get On Your Feet”: 初期の”Madonna”や、”Janet Jackson”、”Prince”を思わせるようなロック・ミュージックです。
ステージ上のダイナミックなダンスも実に軽快です。
10曲目の”Cuts Both Ways”: 曲のタイトルの意味は、「諸刃の剣」という意味です。
“Gloria Estefan”にとって何が、「諸刃の剣」かと言うと、”Our Love”「私たちの愛」と言うことです。
“Can’t be together, cannot live apart”「一緒にいることもできないし、離れることもできない」。
まるで、”Blondie”の”Parallel Lines”「恋の平行線」ですね。
とかく、男女の愛というのは複雑です。
そんな男女の機微を、”Gloria Estefan”切なく歌い上げます。
失いたくない! ラテンのリズムもバラードも!
“Oye Mi Canto”のように、ラテンの軽快なリズムにのって軽やかに歌う”Gloria Estefan”、そして、”Don’t Wanna Lose You”のように、しっとりと歌いあげる”Gloria Estefan”。
全く違う表情を見せてくれます。
しかし、どちらにも共通して言えることは、並大抵の歌唱力ではないということです。
今後、祖国のキューバ音楽にも傾倒していきますが、音楽に必要なリズムとメロディーを両方とも高いレベルで持っているアーティストであると思います。