“Depeche Mode”3作目のアルバムで、その音は、前作の”Broken Frame”を踏襲しながらも、より研ぎ澄まされた印象があります。
(アルバム・ジャケットも前作の続編のようなアート志向を思わせます)
前作の”Broken Frame”が、叙情的で哀愁漂うサウンドでしたが、本作の音は、ちょっと緊張感が伴うより鋭利な感覚があります。
そのような中でも、”Broken Frame”で芽生えた”Martin Gore”のソング・ライティングの才能は、この”Construction Time Again”では、見事に開花し、その実力は揺るぎないものとなりました。
<曲目リスト>
- Love, In Itself
- More Than a Party
- Pipeline
- Everything Counts
- Two Minute Warning
- Shame
- The Landscape Is Changing
- Told You So
- And Then…
- Everything Counts (Reprise)
緊張感みなぎる鋭利な音、楽器の幅の拡がりも
1曲目の”Love, In Itself”:アルバム全体の音の特徴が凝縮されている曲です。
「叙情的な前作とは、違いますよ」と告げるかのような雰囲気を持っています。
鋭利な音は、緊張感がみなぎっていて、ブラス・セッションの導入も新鮮です。
曲の後半のキーボードの伴奏ともメロディーともつかないフレーズはいかにも”Depeche Mode”らしくて印象的です。
4曲目の”Everything Counts”:アルバム前半のハイライト曲です。
前奏からして格好いいですね。
楽器の使い方にも、幅が出ています。
木琴と、木管楽器(形状はクラリネットに似ていますね?)がいいアクセントとなっています。
サビの部分は、”Broken Frame”の哀愁漂うもの悲しい感じが出ています。
後半部分の鍵盤ハーモニカもいい味出していますね。
5曲目の”Two Minute Warning”:”Love, In Itself”同様、”Depeche Mode”の新しい音を感じます。
一つ一つの音を切り出してみると、さして難しくもない単純な音ですが、それが幾重にも組み合わせて曲となると、不思議な魅力が生まれます。
7曲目の”The Landscape Is Changing”にも同じことが言えます。
ひとつひとつの音はそれこそ子供でも、出すことが出来ます。
しかし、それを組み合わせて曲にするとなると、テクノロジーでは、解決できない人間の英知が必要となる世界でしょう。
それこそが、”Depeche Mode”のコアの部分なのでしょう。
そして、8曲目の”Told You So”:アルバム後半部分のハイライト曲です。
前奏の軽快なキーボードのフレーズが、耳に残るキャッチーな曲です。
後半部分のブラスの音に見立てたシンセサイザーの音が、程よいスパイスとなっています。
“Depeche Mode”号 安定飛行期へ突入
デビュー・アルバム発表後、これまで、作詞作曲を担当していた”Vince Clarke”が脱退し、バンド存続の危機を迎えた”Depeche Mode”でしたが、代役の”Martin Gore”の活躍でなんとかその危機を乗り越えることができました。
そして、このアルバム”Construction Time Again”で、誰も、”Martin Gore”を、”Vince Clarke”の代役などと言えないほどの実力を示すことができました。
3作目にして、”Depeche Mode”は、安定飛行に入りました。
もうシート・ベルトは不要です。これからしばらく続く、”Depeche Mode”の黄金時代のサウンドを安心して楽しむことができるのです。
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