“City Boy”のデビュー・アルバムで、アルバム・タイトルもバンド名のセルフ・タイトルです。
曲のイメージも、アルバム・ジャケットの通り、淡い記憶をたどっていくような甘酸っぱさがあります。
LPで初めて聴いた当時、懐かしい(決して古臭いという感じではありませんでした)音だったという印象がありました。
その懐かしさというのは、曲に込められた普遍的なメロディーの美しさによるものでしょう。
“City Boy”ならではのハイ・センスの楽曲を十分に味わって下さい。
<曲目リスト>
- Moonlight (Shake My Head and Leave)
- Deadly Delicious
- Surgery Hours (Doctor Doctor)
- Sunset Boulevard
- Oddball Dance
- 5000 Years / Don’t Know Can’t Tell
- The Hap-Ki-Do Kid
- The Greatest Story Ever Told
- Haymaking Time
アルバム・ジャケット通りの淡くて甘酸っぱいサウンド
1曲目の”Moonlight (Shake My Head and Leave)”:アルバム・ジャケットのイメージにぴったりの曲です。
このアルバムを代表するような曲で、ギターの旋律が、ちょっぴり「くすぐったくなる」ような甘酸っぱさがあります。
曲後半のギター・ソロは、また違った雰囲気で、曲をうまく締めくくっています。
爽やかでありながらも、少しセンチメンタルな憂いを持った曲です。
3曲目の”Surgery Hours (Doctor Doctor)”:曲の雰囲気はがらりと変わって、今後の”City Boy”の音を予感させる曲です。
聴いてみて、お分かりいただけると思いますが、”City Boy”の曲は、好き嫌いがはっきり別れると思います。
ブリティッシュ・ロックのシニカルな部分の好きな人には、きっとクセになる曲だと思いますが、そうでない人にはあまり受け入れられないでしょう。
4曲目の”Sunset Boulevard”:美しいメロディーで、ギターが奏でる音色も歌に寄り添うかたちで綺麗にまとまっています。
そして、曲の中盤で曲調が変わります。曲調が変わっても、美しいメロディーは続きます。
曲の後半は、ライブ会場に一転する、楽しい曲です。
6曲目の”5000 Years / Don’t Know Can’t Tell”:5作目のアルバム”The Day the Earth Caught”の”New York Times”を思わせるような美しくも壮大な曲です。
デビュー・アルバムにこのクオリティーで仕上げてくるのは”City Boy”は相当の実力の持ち主です。
曲調が目まぐるしく変わるのは、”10cc”等の当時のブリティッシュ・ロック・バンドの趨勢なのでしょうか。
ピアノのソロの後に、ギターのソロが続くと曲調が激しくロック調に変わっていきますが、最後は元の美しい旋律に回帰していきます。
まるで壮大なドラマのような展開です。実に多彩な一面を見せてくれました。
8曲目の”The Greatest Story Ever Told”:曲の前半は、5作目のアルバム”The Day the Earth Caught”のタイトル曲でもある”The Day the Earth Caught”を思わせる緊張感のある雰囲気で始まります。
一転してサビの部分は、切ないほど美しいメロディーが流れセンチメンタルな気持ちで胸が締めつけられる感性豊な曲です。
9曲目の”Haymaking Time”:アコースティック・ギターにのせて、淡々と美しいメロディーを紡いていく、哀愁が漂う曲です。
“City Boy”が、”Haymaking”「干し草づくり」(家畜を持つ農家の夏の重要な仕事)の歌を歌うなんて何か奇妙な感じがします。
都会の生活を謳歌できるのも、額に汗して働く農村の人たちのおかげという感謝の気持ちが込められているのでしょうか。
多彩な音は、今後のアルバム作りに反映
デビュー・アルバムにして、多彩な一面を見せてくれた”City Boy”ですが、その後は、アルバムごとに多彩な作品を残しています。
当時聴いても懐かしいと感じた曲群は、今聴いても普遍的な美しさを感じずにはいられません。
“City Boy”は、そんな心が求める楽曲をたくさん残してくれました。
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