“10cc”6作目のアルバムで、”Lol Creme”と”Kevin Godley”が脱退してから2作目のアルバムです。
前作の”Deceptive Bends”(邦題「愛ゆえに」)が、残された”Eric Stewart”と”Graham Gouldman”の2人だけで作ったアルバムに対して、このアルバム”Bloody Tourist”は、”10cc”というバンドの作品と言えなくもないです。
(実際に、”Eric Stewart”と”Graham Gouldman”以外のメンバーが作曲をしたり、リードボーカルを務めている曲もあります)
そして、一曲一曲のできが非常に良いです。
まさに、”10cc”の円熟期にあたるアルバムです。
<曲目リスト>
- Dreadlock Holiday
- For You And I
- Take These Chains
- Shock On The Tube (Don’t Want Love)
- Last Night
- Anonymous Alcoholic
- Reds In My Bed
- Lifeline
- Tokyo
- Old Mister Time
- From Rochdale To Ocho Rios
- Everything You Wanted To Know About!!!
血まみれの旅行者?
1曲目の”Dreadlock Holiday”:まさに、アルバム”Bloody Tourist”を代表するような曲です。
アルバム・ジャケットの世界を曲で表現しています。(アルバムのテーマは、「旅行」です。)
おしゃれなレゲエ調のリズムにのって、”10cc”の魅惑の世界旅行に出発です。
小気味良く刻まれたギターが良いアクセントになっています。
“10cc”のポップ・センスはびか一ですが、まだほんの序の口です。
10cc – dreadlock holiday 投稿者 gazaw
2曲目の”For You And I”:前作のアルバム収録の”People in Love”に比べても決して引けを取ることのない美しいメロディーです。
間奏のギターのフレーズがあまりにも美しく感涙しそうです。
曲も勿論素晴らしいのですが、歌詞がとても詩的で、美しいです。
人間の内面に焦点をあてた一編の詩としても十分価値のある作品です。
7曲目の”Reds In My Bed”:曲のクレジットを見て驚きました。
作詞・作曲”Stuart Tosh”と記載されていました。
“Eric Stewart”と”Graham Gouldman”の作品だと思っていました。
正直、私はアルバム中でこの曲が一番好きです。
2人以外の作品と気がつくこともないほど、このアルバムに溶け込んでいます。
ドラマーの作った曲が、これほど美しいギターのソロを生み出すなんて、何と美しい「領空侵犯」なのでしょう。
8曲目の”Lifeline”:”10 Thousand Miles”離れていても、愛する2人の”Telephone Line”は、”Life Line”なのには、今も昔も変わりません。
(有線か無線なのかの違いはありますが・・・)
9曲目の”Tokyo”:”Tokyo, I Love You”と、歌っていただけるのは日本人としてありがたい限りですが、”Kimonos, and Geisha girls”は、ちょっとステレオタイプのような感じが拭えません。
“Land of the rising sun”地理的な構造上、日本の特典なのかも知れませんが、もっと日本の文化の良い面があるはずです。
もっと日本の素晴らしい文化を世界に発信する必要があると思います。
そして、海外のアーティストに、その素晴らしさをもっと歌ってもらいましょう。
10曲目の”Old Mister Time”:こちらも、黄金コンビ以外のメンバー”Duncan Mackay”が作った曲で、”Eric Stewart”と”Graham Gouldman”の作品と違和感なく並んでいます。
“The Beatles”の”Eleanor Rigby”のような切なさを感じます。
こんな”10cc”らしい曲、”Eric Stewart”と”Graham Gouldman”以外の人が作れるなんて驚愕です。
キーボード奏者が作曲したらしく、ピアノの旋律が秀逸ですね。
11曲目の”From Rochdale To Ocho Rios”:忘れていました。このアルバム、「旅」がテーマでした。
スーツケースには、シャツ1枚と「おろしたてのパジャマ」を詰め込んで、「ジャンボ・ジェット」の空の旅に出るところでした。
南国の軽快なリズムにのって楽しい旅は続くのです。
そして、”Show Time”ショーの始まりです。
やがて、楽しい旅は終焉を迎えるのです。「あ~、名残惜しいです。」
吉とでるか!?バンド・サウンド
最初に、”10cc”のバンドとしてのアルバムと紹介させていただきましたが、やはりその中心は、”Eric Stewart”と”Graham Gouldman”であることは揺るぎない事実です。
この2人の存在があるから、他のメンバーが作曲した”Reds In My Bed(ドラム担当:”Stuart Tosh”による曲)、”Old Mister Time”(キーボード担当:”Duncan Mackay”による曲)も他の曲と同じような輝きを放つことができるのでしょう。
他のメンバーの台頭が、このアルバムの魅力を一層押し上げていることは間違いないです。
ただ、このバンド志向を拙速に追求すると、これまでのファンからの手厳しい評価をもらうことがありますので慎重にすすめるべきだと思います。
“Paul Mccartney”が率いるバンド”Wings”が、かつてその大半を他のメンバーがボーカルを担当し、何曲か作曲をしている”At the Speed of Sound”というアルバムを発表しました。
商業的には、”Let’em In”(邦題:幸せのノック)”Silly Love Songs”(邦題:心のラヴ・ソング)の2大ヒット曲のおかでで成功したように見えますが、ファンの間では決して評価が高くはないと思います。
私個人の意見では、前作の”Venus & Mars”の”Spirits of Ancient Egypt”や”Medicine Jar”あたりでとどめておけば良かったと思っています。
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