【洋楽】おすすめのアルバム”Big Express” : “XTC”

洋楽アルバム紹介

“XTC”の7作目のアルバムです。

厄介なアルバムです。

非常に”XTC”らしいアルバムですが、手始めにまず”XTC”を聴いてみようという人にはおすすめできません。

一度、聴いてみて、すぐに「いいアルバムだなあ」と思った人は、よほどの音楽通か、解釈が間違っています。(そんなことはないでしょう)

しかし、何度か聴いているうちに、”XTC”の毒気が体中を駆け巡り、もっともっとと依存症に陥ることでしょう。

<曲目リスト>

  1. Wake Up
  2. All You Pretty Girls
  3. Shake You Donkey Up
  4. Seagulls Screaming Kiss Her Kiss Her
  5. This World Over
  6. The Everyday Story Of Smalltown
  7. I Bought Myself A Liarbird
  8. Reign Of Blows
  9. You’re The Wish You Are I Had
  10. I Remember The Sun
  11. Train Running Low On Soul Coal
  12. Red Brick Dream
  13. Wash Away
  14. Blue Overall

“Big Express”は適度に楽しむアルバムです。聴きすぎに注意!

1曲目の”Wake Up”: “Andy Partridge”の金属的なギターの音が印象的な曲です。

アルバムの前半に勝負曲を持ってくる傾向にある”XTC”ですが、この”Big Express”の一曲目の”Wake Up”を聴く限り、このアルバムは一筋縄ではいかないなという予感がします。

曲のエンディングは、金属的なギターの音とは対象に、女性の柔らかで美しい歌声が目覚めの後の余韻を残しています。

2曲目の”All You Pretty Girls”: アルバム中、もっともキャッチーな曲です。

これが、アルバムのポップ度の最高到達点ですから、推して知るべし、このアルバムにわかりやすいポップ度を求めてはいけません。

この曲が、”Big Express”で好きになるのが一番早かった曲です。

他の曲は、もう少し時間がかかります。

“Bless You, Bless You”の部分は、中毒性があります。

知らないうちに口ずさんでいる人を時折見かけます。

(我が家に限ってのことですが)

3曲目の”Shake You Donkey Up”: バイオリンの音も飛び出し、自由奔放に演奏しているようで、実は緻密な音作りをしています。

アルバム・ジャケットは、機関車の車輪が大写しにされていますが、アルバム・ジャケットをめくって中ジャケットを覗いてみると、メンバーが機関車のエンジン・ルームで煤まみれの顔でポーズをとっています。

彼らがかぶっている帽子に、「GWR」の文字が見えますが、「Great Western Railway:グレート・ウェスタン鉄道」の略で、ロンドンと南西・西部イングランドおよびウェールズの大半を結んでいた、かつてのイギリスの鉄道会社です。

本作”Big Express”は、機関車のような力強さと泥臭さを感じます。

5曲目の”This World Over”: 世界の終わりをテーマにした曲ですが、 “Andy Partridge”が弾き語りのように淡々と歌っています。

時折、キーボードの美しいメロディーが響きますが、どこかおぼろげで空虚な音にも聴こえます。

歌詞の最後にあるように、”That’s This World Over, The End of Dreams”とあるように、この世の終わりが、単なる夢だったのか、はたまた、この世自体が夢であったのか意味深長な歌です。

1曲目の”Wake Up”とかかっているのでしょうか、このままでは、この世は、ミサイルとともに、夢と消えてしまうのではないか。「目覚めよ」という警告でしょうか。

7曲目の”I bought myself a liarbird”: 3分足らずの曲ですが、”XTC”の魅力がつまっている曲です。

短い時間の中でも曲調が、目まぐるしく変わるのは、”10cc”などの英国ロック・バンドの特徴ですね。

好き勝手にやっているようで、最後はきっちりとまとめてくるのはさすがです。

固めのカップ・ラーメンが好みの方は、ごちそうまえに、至福の時間がすごせそうです。

>”10cc”に関する記事はこちらから

10曲目の”I Remember The Sun”: “Big Express”の力強い曲が多い中で、軽やかなピアノの伴奏が特徴的な曲です。

“The Beatles”の後継者とも言われている”XTC”ですが、この曲は、”Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band”あたりの音を感じさせます。

11曲目の”Train Running Low On Soul Coal”: このアルバム”Big Express”の世界観を表現する影の表題曲です。

“Soul Coal”「魂の石炭」で走っているとはイカしてますね。

“Andy Partridge”自身のことを指していることは容易に想像できます。

決して大げさな表現”Big Express”ではないと思います。

らしさを全面に出すのも考えもの?

本作は、”XTC”らしさが全面に出たファン絶賛のアルバムでしたが、一般の音楽ファンのウケはそれほどでもなかったと思います。

もし、このまま、この路線を引きずっていたら、”XTC”は、音楽シーンから退場していたかも知れません。

それを未然に防いだのが、次作のアルバム”Skylarking”プロデューサーの “Todd Rundgren”です。

“XTC”ファンの中には、”Todd Rundgren”が、”XTC”の良さを矯正してしまうのではないかという不安視した人もいたでしょうが、メンバーの”Andy Partridge”との間で音楽の方向性での対立はあったものの見事な傑作に仕上げました。

そして、我々音楽ファンは、その後の、”Oranges & Lemons”や、”Nonsuch”という名盤を手に取ることができるのです。

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