“Blondie”6作目のアルバムです。
パンク・バンドとしてスタートした”Blondie”ですが、4作目の”Parallel Lines”、5作目の”Eat to the Beat”で、完全に自分たちの音を手に入れたようです。
数々の名曲を残し、その深めた自信で、今回のアルバムは余裕の曲づくりで、レゲエやラップにも挑戦しています。
本作の各曲には、”Deborah Harry”の歌声に、余裕と貫禄が感じられます。
大ヒット曲”Call Me”以外にも、佳作揃いの充実した内容のアルバムです。
<曲目リスト>
- Europa
- Live It Up
- Here’s Looking At You
- The Tide Is High
- Angels On The BalconyGo Through It
- Go Through It
- Do The Dark
- Rapture
- Faces
- T-Birds
- Walk Like Me
- Follow Me
- Call Me
- Suzy & Jeffrey
- Rapture (Special Disco Mix)
パンク、ディスコ、レゲエ、ラップ ジャンルを越えた楽曲
1曲目の”Europa”:1曲目に、この曲を持ってくるとは、これまでの”Blondie”の音からは想像もつかない曲です。
パンク、ディスコ、ラップ、レゲエにも飽き足りず、とうとうクラシック音楽の領域に踏み込もうとしているのでしょうか。
それだけ、卓越したメロディー・メイカーとしての確固たる自信の表れでしょうか。
2曲目の”Live It Up”:”Call Me”ほどの派手さはありませんが、楽曲の素晴らしさは疑う余地がありません。
手許に置いておきたい永きに渡り聴きたくなる充実した曲です。
ディスコ・バージョンでもお楽しみいただけます。
3曲目の”Here’s Looking At You”:「古き良きアメリカ」をイメージさせる曲です。
そう言う意味では、”Madonna”の”American Pie”(アルバム”Music”に収録)に通じるものがあります。
ほのぼのとした曲で、パンク時代の”Blondie”から考えると隔世の感があります。
4曲目の”The Tide Is High”:日本でもCMで起用されていますので、”Blondie”を知らない人でも聞いたことがあると思います。
レゲエ調のゆったりとしたリズムで、穏やかな気分にさせてくれる愛すべき曲です。
こんな曲を作れるのも、数々の名曲を生み出して次々にヒットさせた”Blondie”の余裕の表れだと思います。
8曲目の”Rapture”:私は、この曲で初めてラップというものを知りました。
(と言うよりも、ラップが流行り始めた頃、”Blondie”が、自分たちの音楽にラップを取り入れたということを後で知りました。)
今、聴いて見ると、”Deborah Harry”のラップの方が、J-POPで良く聞く、ラップよりもずっとリズムにのって滑らかな感じがします。
(少なくとも、ラップが音楽のひとつのジャンルという気がします。)
10曲目の”T-Birds”:2曲目の”Live It Up”同様、派手さはないものの、楽曲の良さは「ピカ・イチ」だと思います。
実際、このアルバムでの私の一番のお気に入りの曲です。
11曲目の”Walk Like Me”:何と、”Parallel Lines”、”Eat to the Beat”の頃のような音がいきなり飛び込んできました。
いや、むしろそれ以前の”Plastic Letters”の音に近いかも知れません。
懐かしささえ感じます。
13曲目の”Call Me”:ここからは、リマスター版のボーナス・トラックです。
大ヒット曲の”Call Me”は、これまで、映画”American Gigolo”のサウンド・トラック版にのみ収録されていて、”Blondie”のオリジナル・アルバムの中には収録されていませんでした。
売り込む必要がないほど成功した暁には
このアルバムで、”Autoamerican”では、余裕の曲づくりが感じられます。
もう、自分たちの外の世界に自分たちを売り込む必要がないほど成功したので、自分たちの内面を見つめる余裕が生まれたのだと思います。
ぎらぎらとした野心がない代りに、良い曲を作ろうという意欲を感じます。
しかし、それが決して押しつけがましくないのは、聴衆が自ずと引き込まれてしまうような魅力が曲にあるからだと感じます。
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