Soft Cell(ソフト・セル)の2作目のアルバムです。
アルバム・タイトルは、”Art of Falling Apart”、直訳すると、「崩壊の美学」ですが、邦題は、「滅びの美学」です。
いずれにしても、デビュー・アルバムの”Non-Stop Erotic Cabaret”から、楽曲のセンスは格段に向上し、「美学」と名乗るだけのことはあります。
前作で、”Non-Stop”で一気に駆け抜けた”Soft Cell”が、立ち止まって、自らの音楽性をまた一つ高めた感があります。
<曲目リスト>
- Forever the Same
- Where the Heart Is
- Numbers
- Heat
- Kitchen Sink Drama
- Baby Doll
- Loving You Hating Me
- The Art of Falling Apart
- Hey Joe / Purple Haze / Voodoo Chile
- Martin
- Barriers
- It’s a Mug’s Game
崩壊どころか高まる完成度
1曲目の”Forever the Same”: 強烈なブラスの音が、ひと皮向けた”Soft Cell”の音を象徴しているかのようです。
退廃的なエレクトリック・ポップであるとか、”Marc Almond”がゲイであるとかの話題性は、もはや必要としないほど、楽曲の良さで真っ向勝負です。
2曲目の”Where the Heart Is”: 楽曲の進歩が、如実に感じられる本作”Art of Falling Apart”のハイライト曲です。
エレクトリック・ポップが、必ずしも、ピコピコと弾ける必要がないことを証明しています。
ゆったりと構えた王道のポップ・ソングを展開しています。
5曲目の”Kitchen Sink Drama”: キッチンを舞台に、虚構のドラマが繰り広げられます。
アン・グラで退廃的なイメージがつきまとう”Soft Cell”にしては、ちょっぴり、ファンタジックで、メルヘンチックな曲調は新鮮な驚きを感じます。
7曲目の”Loving You Hating Me”: 楽曲の良さなら、こちらの”Loving You Hating Me”も負けてはいません。
前作のアルバム”Non-Stop Erotic Cabaret”に収録されている”Say Hello, Wave Goodbye”の美しいメロディーを思い起こさずにはいられません。
間奏部分とエンディングの憂いを帯びた旋律は、メランコリックな雰囲気が漂ってきます。
8曲目の”The Art of Falling Apart”: 表題曲であり、アルバムのイメージをも代表する曲です。
曲のタイトルの”Falling Apart”: 「崩壊していく」などと退廃的なイメージはあるものの、曲作りに関して言えば、崩壊どころか、完成度が高まっています。
話題性よりも芸術性
前作の”Non-Stop Erotic Cabaret”は、まさに多種多様なエレクトリック・ポップが怒涛のように押し寄せ、一気に駆け上がるようなイメージでしたが、本作の”Art of Falling Apart”は、落ち着いた曲もあり、まさにアートの香りが漂う優れた楽曲が目白押しです。
ボーカルの”Marc Almond”がゲイであるとかの話題性よりも、各曲の芸術性に着目してほしいと思います。
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