【洋楽】おすすめのアルバム”Adagio” : “Sweetbox”(スウィート・ボックス)

洋楽アルバム紹介

Sweetbox(スウィート・ボックス)の4作目のアルバムです。

アルバム・タイトル”Adagio”が、示す通り、本作は、再びクラシック路線回帰のアルバムとなりました。

“Adagio”は、音楽用語では、遅い速度を示すゆるやかなテンポを意味し、イタリア語で、「くつろぐ」というのが元の意味です。

アルバム・ジャケットの”Jade Villalon”もくつろいだ姿勢でこちらを見つめています。

クラシック路線と言っても、デビュー当時のクラシック音楽との関わり方は随分と変わってきました。

デビュー・アルバムのシングル曲”Everything’s Gonna Be Alright”は、クラシック音楽をサンプリングとして、ヒップ・ホップを重ねていましたが、本作”Adagio”の各曲は、クラシック音楽との融合がより親和性を深めています。

<曲目リスト>

  1. Liberty
  2. Life is Cool
  3. Somewhere
  4. Hate without Frontier
  5. Far Away
  6. Testemony
  7. Il’ Be There
  8. Lacrimosa
  9. Sorry
  10. I don’t wanna be
  11. Chyna Girl
  12. Everybody

再び、クラシック路線回帰へ

1曲目の”Liberty”: オープニングのモーツァルトの「レクイエム」の重厚な雰囲気から、解き放たれたように、”Jade Villalon”の弾むような歌声が続きます。

キーボードの音もどこかパイプ・オルガンを思わせるような神聖な響きです。

2曲目の”Life is Cool”: 本作”Adagio”の代表的な曲です。

こちらは、「パッヘルベルのカノン」を元にした曲です。

“Life is Cool”を何度も繰り返し聴いていると、「パッヘルベルのカノン」を聴くたびに、”Life is Cool”を自然と口ずさんでしまうほど、馴染んでいます。

“Life is Cool”:「人生はカッコいい」=「人生は捨てたものじゃない」という人生の応援歌です。

何とかポジティブに生きようと、前向きに生きることへのポジティブ・ソングです。

そう言えば、デビュー・アルバムの”Everything’s Gonna Be Alright”:「全てうまくいくよ。大丈夫だからね」も、人生の応援歌と言えるでしょう。

3曲目の”Somewhere”: 穏やかな原曲の「グノー」の「アヴェ・マリア」を、情熱を帯びた曲に仕上げています。

“Jade Villalon”が、人生における様々な疑問を投げかけています。

“Do You Know What You’re Looking for”:「探し物は、何かわかってるの?」

“Why Your Your Tears Dry Clear”:「なんで、涙は乾くの?」

“Do You Know Why You’re Waking up”:「なぜ、目が覚めるのかわかる?」

考えてもこたえのわからない質問に、答え続けるのが人生でしょう。

5曲目の”Far Away”: 今度は、「アレッサンドロ・マルチェッロ」の「オーボエと弦楽合奏のための協奏曲 ニ短調」ときました。

“Sweetbox”のクラシック音楽の造詣の深さには舌を巻きます。

クラシック音楽ならなんでも、アレンジできる訳ではないらしいです。

“Jade Villalon”が、言うには、数あるクラシック音楽でも、ポップ・ミュージックに昇華できる曲は、そうそうあるものではないということです。

“Sweetbox”の手にかかれば、湯水のように湧き出るものと思いがちですが、影で大変な苦労をしているのですね。

11曲目の”Chyna Girl”: この曲だけは、クラシック路線の回帰というアルバム・コンセプトから少し外れる曲ですが、楽曲の魅力は十分で、アルバムからは外せない曲です。

前奏から、東洋的な雰囲気をプンプン匂わせ、”Sweetbox”というよりも、”Jade Villalon”プロジェクトとも思える”Jade”の思い入れが伺えます。

ライブでも”Jade Villalon”が熱唱する姿は印象的でした。

クラシック路線回帰の中にも、新たな構想が

“Sweetbox”も4作目を迎え、前作のアルバム・タイトル”Jade”が示す通り、音楽的な主導権の変容がみえるようになってきました。

これまでのプロデューサーである”Roberto “GEO” Rosan”の音楽的な構想を、シンガーである”Jade Villalon”が単に歌うという構図から、”Jade”のクリエイターとしての存在が大きくなってきました。

その表れの一つとして、”Chyna Girl”の存在があります。

しばらく、”Sweetbox”の、”Jade”ソロ・プロジェクトの志向は続きそうです。

>”Sweetbox”に関する記事はこちらから

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