“Enya”4作目のアルバムです。
独自の音楽スタイルで人気を博してきた”Enya”ですが、楽曲の魅力も加わり、もはや”Enya”ワールドは他の追随を許さないほどの音楽の高みに昇ってしまった感があります。
アイルランドのケルト文化や音楽的な手法に目が行きそうな”Enya”ですが、楽曲のクオリティというのは、どのジャンルの音楽でも最も大切な要素ではないでしょうか。
これが不十分だと、長きに渡った人々に愛される音楽とはならないでしょう。
その点、この”A Day Without Rain”は、楽曲の質も一段と進歩を遂げ、これまで以上に多くの音楽ファンに親しまれるアルバムとなるでしょう。
<曲目リスト>
- A Day Without Rain
- Wild Child
- Only Time
- Tempus Vernum
- Deora Ar Mo Chroi
- Flora’s Secret
- Fallen Embers
- Silver Inches
- Pilgrim
- One By One
- The First Of Autumn
- Lazy Days
楽曲に格段の進歩、表題曲も堂々のインストルメンタル・ナンバー
1曲目の”A Day Without Rain”:表題曲であり、インストルメンタル・ナンバーです。
(”10cc”の”How Dare You”、”OMD”の”Junk Culture”以来でしょうか)
この楽曲のクオリティの高さなら、もう何をやっても許されるでしょう。
ピアノの伴奏だけでも、このアルバムの楽曲の質の良さは実感できると思います。
2曲目の”Wild Child”:この曲と次の曲の”Only Time”の楽曲のクオリティの高さはどうしたことでしょう。
これまでも、耳に残る曲、心に突き刺さる曲はありましたが、この2曲の質の高さはこれまでの曲のそれを簡単に凌駕しています。
“Enya”の”Wild Child”の歌詞を借りるならば、”You Don’t Need a Reason”(理由なんて必要ない)のかも知れません。
ただ、私たちはおそらく”Enya”から贈られた上質のサウンドにただ身を任せていればいいのでしょう。
私たちがいろいろ分析したところで、”Enya”の精緻な音楽つくりには遠く及ばないでしょう。
3曲目の”Only time”:これだけ緻密な音をライブで再現できるのが驚異的です。
しかし、シンプルな楽曲に大勢の人が携わっていて大変贅沢な構成ですね。
バイオリンを演奏している人たちは、誰ひとりとして弓を持っていません。
(全員がピチカート奏法なんですね)
6曲目の”Flora’s Secret”:”Enya”の曲は、どの曲もそうですがとても繊細なメロディを持っています。
この曲も例外ではありません。
そんな繊細なメロディに弦楽器が優しく包込むように寄り添っています。
自然と穏やかな気持ちになってしまう”Enya”の音にはそんな力があります。
10曲目の”One By One”:”Wild Child”、”Only Time”の2曲が素晴らしすぎたので、あまりこの曲が注目されていないかも知れませんが、かなり楽曲の質は高いと思います。
私個人的には、お気に入りの曲です。
変わらない”Enya”のサウンド、進歩する楽曲の質
少し聴いた感じでは、”Enya”の音が、前3作と基本的には変わらないと感じる人が多いと思います。
“Enya”の音は、流行に左右されるものではないし、彼女をはじめとしたチームも固定化し、音作りの過程も変わらないためです。
しかし、楽曲の質は確実に進歩しています。
(ひょっとしたら、私たちの方が、”Enya”の音にやっと追いついてきたのかも知れませんが)
“Wild child”や”Only Time”は、”Enya”の精緻な音作りや多重録音などの緻密な音楽制作活動がなくても、十分曲だけで多くの音楽ファンに受け入れられる作品であると思います。
その点が、このアルバムの価値をより一層高めているものと確信しています。
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